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この世に根っからの悪い人なんて、どこにもいないと思うんです。
人間誰でもいいところは必ずあるものだし…でも改めて『いい人ってどんな人?』と訊ねられたら…う~ん…難しいですね。
新選組の皆さんは皆いい人ばかりですよ。
殺されそうになって、軟禁生活を送らされて本当に『いい人なのか?』と疑問に思われるかもしれません。
確かに最初は怖かったです。
わけもわからず、とりあえず生かされているだけで…。
知る人もいない居場所もない、おまけに部屋から出ることも叶わなかった。
そんな状況の中で自分に出来る事を見つけて、少しずつお手伝いしているうちに軽い会話を交わすくらいは出来るようになりました。
食事を皆と一緒の部屋で取る事になり、最初はただ皆さんの会話に耳を傾けているだけだったけど、少し笑ったり言葉を返せるようにもなりました。
やがて転機が訪れて…『新選組預かり』という状況は変わらなかったけど、新選組副長の小姓として簡単な雑務を任されるようになり、この屯所の中の行動範囲が少しだけ広がりました。
雑務をこなす私に労いの言葉をかけてくれたり、すれ違う人に挨拶をしたり…これは自分の願望というか、そうであって欲しいという気持ちなのかもしれないけれど、ここにいていい理由が出来た気がしました。
そうすると自然に話かけたりかけられたりする機会が増え、一緒に行動する時間も増えました。
斎藤さんは忙しい合間を縫って剣の稽古をつけてくれたり、武士道精神について熱心に教えてくれたり、巡察の帰りに冷やし飴を買ってきてくれたり。
沖田さんは意地悪な言動や出鱈目ばっかり言ってる風に見えるかもしれませんけど、さりげなく気遣いしてくれて優しい人だし、『食べ過ぎたら風船みたいに膨らむよ』と言いながら金平糖をわけてくれたり。
井上さんと島田さんは私が忙しそうにしていると何かと手伝ってくれて、『よくやってるから』とおはぎや御饅頭をわけてくれるし。
土方さんは毎日厳しいけど…私の事を気遣ってくれるのがすごくわかる。それに『褒美だ』ってかわいらしい造形のお菓子をくれたりします。
伊東さんも『美』とか『美肌』とかなんだかよくわからない事も言うけど、興味深い話をしてくれるし、なかなか見かけないようなお菓子を食べさせてくれたりして…けして悪い人じゃないと思います。
…あれ?
以上の話をまとめると
『いい人』と言うのは『おやつをくれる人』という事…になりますね。
…違う…
たぶん違う…
いや…合ってるのかもしれない…
でも…『おやつをくれたからいい人』といった発想はあまりにも子供じみています!
ごめんなさい!もう一度考え直してみます(汗)