先日から少し体調が良くない事もあり、本日は松本先生を訪ねてきました。
幸い大きな病気の心配はなく、塗り薬をいただいて診療所を後にしました。
今日は晴れのような曇のような…はっきりとしないお天気です。
(はぁ…私の心とおんなじ…かな。)
私の心にひっかかっていたもの。
それは完全に取り除かれたと思っていました。
でも人は、辛いと思った事を全部忘れる事など出来ないのです。
(体調不良の件を斎藤さんに相談したら、『石田散薬を飲め』と勧められたけど…正直あれを全部飲み干すのはきつかった。まさか「嫌です」なんて言えないし。半分残そうと思ったのに、斎藤さん…飲みきるまで私のそばから離れないんだもん。)
しかし石田散薬のおかげなのか、昨日から体調は徐々に快方へと向かっていました。
(『良薬は口に苦し』やっぱり我慢して飲み干したおかげ…なのかな?)
だとしても、二度と石田散薬のお世話にはなりたくはありません。
(飲んでる時、牛か馬になりそうな気がした。斎藤さんは「心配せずとも牛にはならぬ」って言ってたけど…。)
しかし、心の靄は薬では消し去る事は出来ません。
あの日私の心に蒔かれた、たった一つの黒い種。
それはいつか私の心を蝕み、闇のように暗い葉を生い茂らせ、黒い花を咲かせるのかもしれない。
(…止めよう。こんな事ばかり考えるの。特別に外出を許可されたんだから、今日は外の景色を楽しもう。)
ふと目を動かしたその先に、紫色の何かを見つけました。
「かわいい…雑草かな?小さな花がたくさんついていて、本当にかわいい。」
紫色の群生が、風に吹かれゆらゆらと揺れています。
「秋って紫色の花が多い気がする。それにもうすぐ紅葉の季節だ。…紅葉狩りなんて到底無理だけど。」
花を愛でる暇も余裕も立場もない。
でも、しっかりと目を開けて周りを見渡せば、すぐそこに美しい自然がありました。
「あっ!紅葉してる。そうか、山の木々だけじゃないんだ、紅葉するのは。」
「真っ黒だけど天道虫発見!ついでにアブラムシ(?)も(笑)。」
「なんだろ?実がついてる。こんなところにも実りの秋発見!」
香りは感じなかったけど、金木犀を見つけました。
すぐそばにある秋。
美しい四季の風景。
不安と焦りを感じ、余裕もなく前だけを見ていた私は、自ら目を塞いでいたのかもしれない。
すぐそばにある小さな幸せ。
たくさんのあたたかな言の葉。
いろんな人が私に声をかけて、心の中に種を蒔いてくれている。
私はその種に水を与え、いつか芽が出るようにと目を向けていたのだろうか。
「私の心に蒔かれた種…黒い種だけじゃなく、あたたかな種をたくさんの人からもらった。それは綺麗な緑の葉を生い茂らせ、美しい花を咲かせる…よね。」
どうか咲かせるのなら美しい花を
声をかけるのならあたたかな言の葉を
そして私もあなたへと
優しく心に響く言の葉がその心に芽吹くように
心に芽吹いた種が美しい花を咲かせるようにと
青い空に願いながら、そっと言葉を紡ぎましょう。