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ぼんやりと暮れ行く空を見つめていました。
だんだんと日が短くなり、夕日が落ちる時刻も早まってきた。
秋の夕暮れはなんだか切なくて…
薄暗く青く染まり行く空がとても綺麗で…
赤く燃ゆ空がなんだか…
(なんだか柿の色に似てる…)
ぐ~
(なんてこと考えてたらお腹が空いてきた。もうすぐ夕餉の時間だ。お手伝いしなきゃ。)
立ち上がり振り向くと、私の後ろには源さんが立っていました。
「千歳ちゃん、黄昏ているところを邪魔したみたいだね。」
「いえ、今から夕餉の準備のお手伝いに行こうと思っていたところです。」
「そうかいそうかい。今日の当番は沖田君だからね…君が手伝ってくれるならあの酷い料理から解放されるねぇ。」
「酷い…確かにあの味付けは個性的ですね。」
私は苦笑を浮かべながら、源さんと勝手場へと向かいました。
「今日の献立はなんでしょう?確かサトイモがありましたね。サツマイモも。おいもの煮っ転がしもいいですね。大根の葉があったしお味噌汁に…」
「今日は特別に秋刀魚が手に入ってね。皆と分け合うから多くは口に入らないと思うが、千歳ちゃんも旬の味覚を存分に味わうといい。」
「わぁ~秋刀魚大好きです。少しずつしかないのなら、美味しく調理して皆さんに美味しく食べてもらいましょう!」
秋は美味しいものがたくさんありますね。
柿、栗、サトイモ、サツマイモ、それから秋刀魚。
煙がすごくて焼くのは大変ですが、私は秋刀魚が大好きです。
たくさん食べたい!けど、贅沢なんて言えません。
だからこそ、秋の味覚を美味しく大切に味わいたいと思います。
追記
私の想像通り、秋刀魚が多い少ないでケンカになり、危うく私の秋刀魚は宙を飛んでどこかに行ってしまいそうになりました。
何とか死守し、永倉さんに秋刀魚を取られた平助君にわけてあげました。
ほんの一口しか口に出来なかったけど、今年初めての秋刀魚は確かな秋の到来を私に告げてくれました。