第617話「ゴリさん、見ていてください」(通算第311回目)
放映日:1984/9/28
ストーリー
昨日のスーパー八尋に押し入った強盗犯が、関係者の証言と遺留指紋から、矢口一義(38歳)(荻原紀さん)と断定された。
矢口は殺人、傷害、強盗の前科11犯であり、犯行後に御幸町のドヤ街で目撃されたという情報が入り、付近に潜伏している可能性が強かった。
西條と竹本と澤村は刑事と見破られないように、浮浪者に扮し、ドヤ街にて潜入捜査をしていた。
矢口の特徴は左頬の傷だったが、付近には傷を持っている人物が大量にいた。
澤村は食堂の女将から逃走している食い逃げ犯(及川ヒロオさん)を取り押さえた。
澤村は群衆の中に矢口を発見したが、女将が澤村に、食い逃げ犯を警察まで連行するように依頼してきた。
澤村は女将に掴まれて手錠を落としてしまい、矢口に刑事と感付かれてしまった。
澤村は逃走する矢口を追跡したが、見失ってしまった。
矢口は西條と竹本により逮捕された。
西條と竹本はチームワークの勝利と喜んだ。
澤村は久松町で酒を飲んでいる捜査員のもとから離れ、ただ一人、おでん屋の屋台で酒を飲んでいた。
澤村は令子が合流した直後、勘定を払って出て行ってしまった。
翌日、藤堂と山村は、殉職して2年経過した石塚の命日に抜けられない仕事があるため、墓参りに向かっていた。
西條と竹本は石塚が、危険な仕事を真っ先に引き受け、決して出しゃばらず、藤堂や山村に叱られた後に、こっそり慰める好人物であることを語った。
藤堂と山村が一係室に帰還し、大食漢だった石塚の墓に大量の食料を供えてきたことを話した。
原島(内藤剛志さん)と共犯は、ローンズ菊水に目を付け、ビルに入っていった。
澤村は令子に、自分が本当に役に立っているのかという悩みを打ち明けた。
令子は捜査一係にとっては新参者の方で、刑事としての経験が少なく、失敗も多いが、与えられた仕事を誠実に取り組むしかないと思っているとアドバイスした。
令子は助け合いこそがチームワークであると誇り、澤村に自信を持つように励ました。
藤堂から、矢追大通りのサラリーマン金融「ローンズ菊水」に2人組の強盗が入り、西條達に追跡されているという連絡が入り、大橋方面に急行した。
原島は拳銃をズボンに隠し入れ、大金の入手に喜んでいたが、西條と竹本、令子と澤村の覆面車に挟み撃ちにされた。
原島と共犯の車は覆面車を回避しようとして、空き地のドラム缶に衝突した。
原島は令子と澤村に追跡され、共犯は西條と竹本により逮捕された。
令子と澤村はブティックイケダの角を曲がった箇所で、原島を見失ってしまった。
令子は澤村の提案を押し切り、澤村に近隣の店を調査させ、単独でブティックに入店したが、店内に隠れていた原島に気付いた。
令子は拳銃をハンドバッグから取り出そうとしたが、原島に腹部を銃撃左れてしまった。
原島は店外の澤村にも発砲し、ブティックの女主人(木村翠さん)を人質に取り、籠城した。
警官隊と機動隊がブティックの周囲を包囲したが、ブティックの入口はマネキンが並べられ、店内の様子が分からなくなっていた。
山村がブティックの前に到着した。
澤村は令子と同行しなかったことを後悔した。
西條は向かいの団地から双眼鏡で、ブティックの店内を確認した。
山村と澤村は西條のもとに合流し、店内にて令子が出血多量で倒れていること、原島が令子の拳銃を奪取したこと、女主人が拘束されているのを目撃した。
ブティックにはもう1人女店員がいたが、今日は休んでいた。
山村は女主人を無事に救出することを先決と考えた。
山村は澤村に、下に降りるように命じたが、澤村は令子が存命していることを確認した。
ブティックに山村から電話がかかり、女主人に代わって原島が出た。
原島は山村から、令子が生存していることを知った。
山村は原島が殺人を犯していないため、今なら殺人者にならずに済むとして、令子を表に出すように説得した。
山村は丸腰の澤村を入口まで引き取る以外に、誰もブティックに接近させないことを約束したが、原島は取り合わなかった。
原島の、令子と女主人の解放の条件は、ブティックの女店員の須藤久美子を連れてくることだった。
原島は逃走する場所を失い、闇雲にブティックに飛び込んだわけではなかった。
原島は須藤に強く惚れていたが、須藤が無関心だったために激昂し、須藤を誘拐して高飛びする計画を立てていた。
原島と共犯がローンズ菊水を襲撃したのは、逃走資金を稼ぐためだった。
原島の共犯は原島に引きずり込まれただけと主張したが、井川は取り合わなかった。
竹本は須藤宅に行ったが、須藤は外出しており、行き先が不明だった。
澤村は山村に、ブティックへの突入を懇願したが、山村に禁止された。
山村の強行突入禁止の理由はブティックの出入口が1ヶ所しかなく、原島側から警察の動向が丸見えであり、無理をして令子が死亡することを恐れたためだった。
令子は意識が朦朧としていた。
藤堂と井川と西條と竹本は令子の生還を祈った。
山村は竹本と澤村に須藤の捜索を命じたが、須藤を探し当てた場合でも、須藤を代わりの人質として身柄を引き渡すことが出来なかった。
澤村は原島の指示通りに動かざるを終えない状況に、怒りを燃やしていた。
山村はいつか来るチャンスを作るために、須藤が必要であると思っていた。
原島の共犯は、原島が須藤のレオタード姿がたまらないと話していたことを自白した。
須藤はエアロビクスに夢中だった。
竹本と澤村は「カリフォルニアシャープ」に急行し、エアロビクスの練習中の須藤(白石まるみさん)を強制的に連れ出した。
須藤は竹本と澤村から、原島が女主人を人質に取ったこと、令子が瀕死の重傷を負ったことを告げられ、降車を強要した。
山村はブティックに電話を入れ、須藤を探し出し、現地に向かわせていることを伝えた。
原島は須藤が自分と会うのを拒否していることを知り、令子を渡さず、女主人を殺害すると脅迫した。
藤堂は須藤が七曲署捜査一係の期待通りに動いてくれる望みがほとんど無いため、強硬手段に賭けることを決定した。
須藤は原島との会話を拒絶し、協力を拒否した。
山村は須藤に、何も言わずにブティックに向かって直進すること、原島が須藤に気を取られている隙に、捜査一係が突撃すると伝えた。
山村は須藤に非難されたが、保証が無いものの、傷一つ負わせないと信じるように依頼した。
澤村は須藤が協力しないため、暴走して強行突入しようとして、山村に殴られた。
山村は単独で原島の目を引き付けようとした。
澤村は令子の負傷を自分の責任と感じ、自分を突入させるように提案した。
山村は澤村に、各自が一番自分に適した役をどう立派に果たすかが問題であると諭した。
井川は西條の待機するマンションに向かい、ライフルの照準を原島に向けた。
西條はブティックの左手前にマンホールがあるのを発見した。
竹本と澤村は下水道を伝い、ブティックのマンホールの下まで急行した。
原島は我慢の限界に達し、令子を射殺しようとしたが、須藤がブティックに直進すると名乗り出た。
須藤は山村達を信じ、原島の指示通りに動くことを約束し、誰も殺害しないように懇願した。
竹本と澤村がブティックのマンホールの下に到着した。
澤村は石塚が危険な事件に真っ先に突っ込む人物として、自分を先に行かせるように頼んだ。
山村はマンホールの蓋が開いたのを見計らい、須藤を直進させた。
澤村は山村と令子の発言を思い出していた。
原島は女主人が逃走しようとしているのを見て、女主人を殺害しようとしたが、令子に足を掴まれ、妨害された。
澤村はブティックに突入し、原島を殴り倒して逮捕した。
令子は救急車で矢追警察病院に搬送された。
矢追警察病院に波江(成田光子さん)と裕太(服部賢悟さん)と陽子(中原有弥子さん)を連れた井川が駆けつけた。
令子の手術は成功したが、今夜が山だった。
波江と澤村は令子を看病していた。
令子は病室に藤堂が現れた直後、意識を回復し、峠を乗り越えた。
令子は迷惑をかけたことを後悔していたが、藤堂に励まされた。
藤堂は令子に、澤村がブティックに突入する前に「ゴリさん、見ていてください」と呟いていたことを伝えた。
メモ
*今まで、殉職してから本格的に回顧されることのなかったゴリさんの回顧編。
*ブルースの浮浪者の扮装がよく似合っている。しかし、ドックとラガーとの扱いの差に憤慨。
*食い逃げ犯はその後逮捕されたのだろうか。
*個性の強い七曲署捜査一係に入っているのかが不安なブルース。しかし、以前はそういうことで悩まない性格だったような…
*捜査一係のメンバーで、ゴリさんと一緒に仕事をしたのはボス、山さん、ドック、ラガーの4人となっていた。(マミーは当時交通課勤務)
*劇中、ラガーはゴリさんには殴られたことがない。
*ゴリさんの回想として、「ドクター刑事登場!」、「ある巡査の死」、「ゴリさん,死の対決」のシーンが流れた。いずれの3話は、ドックが若く、ラガーが痩せていて、既に殉職しているボギーが映っており、懐かしさを感じる回想となっている。
*かつての七曲藤堂一家の長男はゴリさんだったが、殉職後はドックに移行。そして、口うるさい優しい姉貴分がマミーとなった。
*原島の共犯の服が、かつてのラガーが着ていたジャンパー。
*マミーの「刑事という仕事への思い」が語られている。
*マミーはPART2の「長さんの長い午後」でも似たような状況で重傷を負ってしまう。
*ボスやトシさん、ドック、ラガーがマミーの無事を祈るシーンで、「爆発! ロッキー刑事」と「岩城刑事 ロッキーにて殉職」の回想シーンが流れた。
*「刑事・山さん」に引き続き、山さんに殴られるブルース。
*OPではトシさんがライフルを構えるカットがPART2を除いてあるものの、本編中でライフルを構えるのは今回のみ。これは当初、トシさんは長さんとゴリさんの要素を併せ持つキャラクターとして描かれる予定だったが、長さんの家庭持ちのキャラクターが強調され、ゴリさんの射撃の名手のキャラクターがドックに継承されたことによるものと思われた。
*ボスが一係室にいないのも久々。ラストはボスとマミーのやり取りで締められた。
*今回は「犯人の顔」と同時撮影。そちらにもエアロビクスのシーンがある。
キャスト、スタッフ(敬称略)
藤堂俊介:石原裕次郎
竹本淳二:渡辺徹
澤村誠:又野誠治
岩城令子:長谷直美
須藤久美子:白石まるみ
原島:内藤剛志
早瀬波江:成田光子、ブティックイケダ女主人:木村翠、食い逃げ犯:及川ヒロオ、食堂女将:加藤土代子
中村銀次、原田育江、矢口一義:荻原紀、岩城裕太:服部賢悟、岩城陽子:中原有弥子
ノンクレジット ドヤ街の男:寺島進
西條昭:神田正輝
井川利三:地井武男
山村精一:露口茂
脚本:長野洋
監督:堀内泰治