第618話「コンピューター計画」(SP) 前編 (通算第312回目)
放映日:1984/10/5
ストーリー
黒いライダースーツを着たオートバイの男は、「真珠宝石 棟朝」に赴いた。
オートバイの男はダイナマイトの導火線を点火させ、放り投げて店主(柄沢英二さん)達を脅迫した。
ダイナマイトの導火線は爆破寸前で消火する仕組みとなっていた。
オートバイの男は宝石を強奪し、走り去った。
藤堂の連絡を受け、西條と令子、竹本と澤村、井川が現場に直行した。
西條と令子は曙通りにて、霞町方面に逃走するオートバイの男を発見し、追跡した。
オートバイの男はタイミング良くずっと青信号だったが、赤信号に引っかかりそうになり、別の路地に逃走した。
西條と令子はオートバイの男が赤信号に引っかからないことから、オートバイの男がコンピューターで計算されているように進行しているのではないかという感触を得ていた。
オートバイの男の仲間は、覆面車とオートバイの男の進行経路をコンピューターの画面に映し出し、オートバイの男に指示を与えていた。
オートバイの男は交差点を曲がり、左側が工事中となっている道路を進行し、西條と令子をまいた。
竹本と澤村は前方からオートバイの男の進路を塞いだが、オートバイの男は覆面車を飛び越え、逃走した。
竹本と澤村は踏切でオートバイの男に逃げられてしまった。
西條と令子、竹本と澤村は「棟朝」に直行し、井川と合流した。
西條は犯人グループがコンピューターを使用し、踏切や信号がギリギリで通り抜けられるように計算してあったのではないかと推理した。
西條の推理の内容は
*オートバイの男はコンピューターを所持している仲間と無線連絡しあっていた。
*コンピューターに信号の周期や踏切の閉まる時間を記憶させる。
*実際にオートバイの動向をレーダーで拾い、コンピューターに組み込めば、信号や踏切に引っかからずに走行できる。
というものだった。
井川はオートバイの男が、30万円相当の宝石しか盗んでいないことが引っかかっていた。
共犯者はコンピューターに精通している、一流のプログラマーか、ただのコンピューターマニアと思われた。
オートバイのナンバーは偽造プレートで、持ち主は中学校の教師であり、犯行時刻には体育の授業をしていたため、アリバイが完全だった。
令子と澤村はオートバイマニアの前科者を捜査していた。
竹本はオートバイの男がレーサーかスタントマンの経験者ではないかと推察した。
ダイナマイトは先月、横浜の工場で13本纏めて盗まれたものの一部だった。
本庁と港南署がダイナマイト強奪事件を捜査していたが、全く進展していなかった。
山村はコンピューターを使った犯罪の場合、犯人の目的がコンピューターのテストであること、第二、第三の犯行の発生を予測した。
七曲署に宝石強盗犯と名乗る若い男から、矢追2丁目の廃ビルに、捜査一係捜査員宛の贈り物があるという電話が入った。
西條と竹本は廃ビルに急行し、矢印の貼り紙のもと、廃ビル内を探索した。
西條と竹本は集会室の前まで進み、贈り物がダイナマイトであることを恐れて退避したが、室内にはコンピューターとフロッピーディスクが配置されていた。
フロッピーディスクの箱の上には、「棟宝」から盗まれた指輪が置かれていた。
「棟宝」の事件はテストだった。
キーボードの下の紙には、電源を入れ、フロッピーディスクを挿入するようにという指示が書かれていた。
西條はフロッピーディスクドライブにフロッピーディスクを挿入したが、フロッピーディスクの内容は爆弾探しゲームだった。
爆弾探しゲームは制限時間の1時間以内に6個のダイナマイトを見つけ出すゲームであり、ゲームのスタートは午後4時だった。
西條は画面の指示通りにF1キーを押したところ、画面に国際撮影所の見取り図が映った。
藤堂は山村、井川、令子と澤村を国際撮影所に急行させた。
爆弾探しゲームは入力者が刑事という役割で、色々な場所を捜索するアドベンチャーゲームだった。
国際撮影所はAブロック、Bブロック、Cブロックに別れ、ブロックごとの部屋、部屋ごとの設置物が細かく選択できるようになっていた。
西條はAブロックの守衛室の植木鉢の中を指定し、1つ目の爆弾を探し出した。
井川と令子と澤村は植木鉢の中から時限爆弾を発見し、起爆を停止させた。
時限爆弾は本物だった。
井川は本棚の中から、令子はギターケースの中から爆弾を探し当てた。
西條は制作部の部長の机の中を選択し、4本目の爆弾を探し当てた。
澤村は時代劇のセットの井戸の中から爆弾を発見し、爆弾が残り1本となった。
残り時間があと5分に迫っていたが、西條は頭が一杯だった。
西條はCブロックの編集室を選択しようとしたが、なぜか画面には犬小屋が映し出された。
6個目の爆弾は犬小屋の中にあった。
井川達は4時59分に6個目の爆弾の起爆を停止させた。
昨夜の会議にて、犯人がこの先もコンピューターを使用し、第3第4の犯行に出る可能性が高いが、七曲署にはコンピューターに強い刑事がいないため、本庁から補佐役が派遣されることが確定した。
藤堂は捜査員に、補佐役である本庁捜査二課刑事の水木悠(石原良純さん)が派遣された。
水木は捜査員とお互いに自己紹介を行った。
水木は藤堂から爆弾探しゲームのフロッピーディスクを預かり、犯人を相当なプログラマーと断定した。
爆弾探しゲームには、時間が迫れば、どの場所を指定してもダイナマイトの隠し場所が出力されるようプログラミングされていた。
井川と令子は水木を強力な補佐役と称賛した。
昨日のパソコンは、1ヶ月前に池袋のショールームで盗まれたものだったが、北署の捜査でも手掛かりが出なかった。
犯人グループの所持しているダイナマイトは残り4本だった。
一係室に関東製薬から通報が入った。
午前9時50分、井川は澤村と水木を連れて関東製薬に直行し、羽鳥専務(入江正徳さん)と坂田主任(吉水慶さん)から話を聞いた。
関東製薬はコンピューターに入力されている新薬のデータを、何者かに盗まれていた。
昨夜、コンピュータールームのパソコンにメッセージが送信されていた。
メッセージの内容はR250のデータを強奪し、他社への流出を防ぎたければ、明朝の午前10時までに古紙幣で5億円の用意を強要するというものだった。
羽鳥は警察に通報するかどうか迷っていた。
坂田はR250のデータが犯人に盗まれ、犯人がデータの一部をコンピューターに送信したことを話した。
羽鳥は5億円を用意していた。
澤村は犯人がコンピュータールームに侵入し、データを強奪したと推測したが、坂田は犯人が直接コンピューターのプログラムに侵入したものと断定していた。
坂田は井川と澤村と水木をコンピュータールームに案内した。
午前10時、パソコンの画面に、金を革製の鞄に入れ、1時間以内に男女社員2名で、東京湾第2埋立地まで持ってくるようにという犯人の指示が出力された。
山村は令子と水木を関東製薬の男女社員に扮させ、西條と竹本、井川と澤村に埋立地に急行させた。
令子と水木は5億円の運搬に緊張し、拳銃の腕に自信が無かった。
西條は自分達の行動もコンピューターで計算済みなのではないかと危惧していた。
捜査員が埋立地の前に到着し、令子と水木は埋立地の中に停車した。
埋立地の奥には小型トラックが停車していた。
令子と水木は小型トラックに接近したが、運転席には作業服を着たマネキンと紙が置かれていた。
紙には荷台に鞄を載せるようにという指示が書かれていた。
水木は指示通りに5つの革製の鞄のうち4つを荷台に置いた後、運転席にコンピューターが仕掛けられていることに気付いた。
水木が革製の鞄の5つ目を入れた直後、小型トラックが埋立地を北に向かって発進した。
小型トラックは荷台の重さで走行するようにプログラミングされており、精密なプログラミングさえしていれば、どんな道でも走行可能だった。
小型トラックは行き止まりで停車し、荷台を傾け、鞄を落下させた。
鞄はオートバイの男の乗るボートにより回収され、その20秒後、トラックがダイナマイトにより大爆発を起こした。
5分前、関東製薬のコンピューターに、金を受け取ったため、R250のデータを処分するという内容のメッセージが送信されていた。
水木は犯人のプログラムへの侵入の手口が、電話回線を使用し、端末機から侵入したものと推測していた。
パソコンに音響カプラーを接続し、相手の電話番号を呼び出し、カプラーに電話の受話器をセットすると、画面に「Log on please」と表示されるため、そこでIDとパスワードを打ち込むと、プログラムへの侵入が可能だった。
重要機密のプログラムにはプロテクションが仕掛けられているため、IDとパスワードを知っていても簡単には侵入できない筈だった。
竹本は犯人グループがマネキンをゴミから回収したものと思っていた。
トラックは盗難車であり、ダイナマイトは工事現場から強奪されたものと断定されたため、残り2本だった。
どこの新聞も、関東製薬の5億円強奪事件をトップ扱いにしており、警察への風当たりも強くなっていた。
水木は帰宅し、自宅のパソコン「ホームズ一世」に関東在住の一流のプログラマーをリストアップさせたが、該当者がいなかった。
西條と竹本は畑山仁(26歳)(佐藤仁哉さん)という男に容疑をかけた。
畑山は将来を嘱望されたオートバイレーサーのホープだったが、4年前(1980年頃)に大麻所持で逮捕され、連盟を除名されていた。
畑山は連盟を除名された後、スタントマンをしていたが、監督と喧嘩し、1年余りで解雇され、新村自動車工場にて働いていた。
自動車修理工場の社長の新村義彦(45歳)(三角八朗さん)は元日本自動車のエンジニアだった。
畑山は撮影所に詳しく、自動車修理工場を使用すれば密かに車を改造することが可能であるため、畑山と新村が共犯である可能性が浮上した。
畑山のヘルメットと服の色、オートバイのナンバーは犯人と違い、無線機も所持していなかったが、オートバイの車種は犯人と同一で、背格好も一致していた。
畑山は帰宅した。
西條と竹本は畑山のアパートの2件隣のアパートに登り、手摺の隙間から畑山の部屋を覗き込み、畑山がパソコンを所持していることを確認した。
西條と竹本は帰宅する新村を監視した。
新村と畑山は独身で、新村は会社を辞めた際に夫人と離婚していた。
新村も畑山と同機種のパソコンを所持していた。
西條はモーターボートに乗っていた男の1人とオートバイの男を畑山と確定したが、モーターボートに乗っていたもう1人の男が新村と違うと予測し、犯人が4,5人のグループと推理した。
水木は急いで帰宅し、ホームズ一世に音響カプラーを接続させた。
新村の線からは犯人グループの他のメンバーが浮上せず、関東製薬も不審な容疑者が出なかった。
水木は単独で犯人グループのメンバーを突き止め、令子にメンバーのリストを渡し、捜査員に顔写真を集めるように指示していた。
犯人グループのメンバーは大野圭一郎(43歳)(西沢利明さん)、新村、畑山、相原真佐子(26歳)(里見和香さん)、峰村俊樹(35歳)(原田力さん)と特定された。
水木は大野達を開始した。
主犯の大野は子供向けのテレビゲーム製作会社「ミリオンハウス」に勤務しているプログラマーだった。
大野の共犯のエンジニアとオートバイ乗りは西條の推測通り、新村と畑山だった。
相原は矢追2丁目の黒川薬局で薬剤師をしていたが、一昨年(1982年)まで関東製薬にてオペレーターとして勤務していた。
峰村は業界紙「サイエンス通信社」の記者で、半分ヤクザのような男であり、情報屋兼スカウト役だった。
水木は昨夜、新村と畑山の自宅にパソコンが設置されていることを聞き、互いの連絡をパソコンで取り合っているのではないかと直感した。
パソコンにコードを接続すれば、遠隔地でもオンラインシステムで交信が可能だった。
ホストコンピューターの端末としてパソコンを使用している場合、ホストが判明すれば登録するグループも判明することが出来た。
水木はミリオンハウスで新村と畑山の名前を発見しており、グループに登録しているのが大野と相原と峰村だった。
水木は新村と畑山を犯人と仮定し、大野達を犯人グループと断定していたが、山村に犯人と断定できないと反論された。
西條は水木に、犯人の捜査が証拠を積み重ねるものであると言い聞かせた。
藤堂は捜査の対象を5人に絞り、水木には井川と一緒に大野を調査するように命じたが、水木に単独で調査したいことがあると上申された。
井川と澤村はミリオンハウスに赴き、大野と面会した。
大野はコンピューター犯罪が会社内で話題になっていることを話し、捜査員が自分を主犯のプログラマーとして容疑をかけていることに気付いていた。
大野は今年の春、新宿のパソコンショップで開催された「ミリオンハウス」の新作ソフトウェアの発表会の際、偶然客として訪れていた畑山と相原と話が会い、パソコン仲間となったと伝えた。
令子は扮装して相原と接触し、西條は峰村を尾行した。