「浪人って呼ばないでね」

 

娘がそう言ったのは、バレエをやめて数日後のことでした。予備校の話をしていた親戚が、何気なく「浪人生活」という言葉を使った直後でした。

 

浪人という言葉には、後ろ向きな響きがある気がしたのだと思います。私はとっさに「ギャップイヤーだね」と言い直しました。海外ではよくある、進学までの一年をそう呼ぶのだと。

 

正直、思いつきでした。でも娘は、その響きを気に入ったようでした。同じ一年なのに、呼び方を変えただけで、娘の顔つきが少し違って見えた気がしたのです。

 

その一年、娘がどんな時間を過ごし、どこへ向かっていったのか。続きの記録を、上にまとめています。