ビアフラ 1 ポンド 1969

 

今回描いたのは1967年から1970年に存在したビアフラ共和国発行の1ポンドコインです。表にはサンショクウミワシ(三色海鷲)が描かれていて、この鳥が止まっているのは憲法?の文書でしょうか。


調べてみたところ、こちらの鷲はサハラ以南のアフリカに生息する大型の猛禽類で、アフリカを象徴する存在だそう。

参考: https://en.wikipedia.org/wiki/African_fish_eagle


鷲を中心に月桂樹と思われる植物が左右に広がり、そして”Fight For Freedom”の文字が刻まれたデザイン。


綺麗なコインで楽しく描けたのですが、このコインの発行された背景の歴史を調べると、本当に悲しく辛い現実で、安全な環境で美しいコインを見て楽しめる立場でいることに、表現しがたい気持ちになりました。


戦禍においてのコインを発行は国家の存在証明として大きな意味があり、独自通貨を発行することでナイジェリア連邦政府に依存しない姿勢、独立国家としての姿勢を国際社会に示す重要な意味を持っているのだと学びました。


実際に流通量は限られていたものの(金貨は3,000枚、銀貨は不明)、こうやって後世において、私が絵を描いているのように、コレクターや研究者にとって、失われた国家として認知してもらう意味もあるのだと、自分自身このブログで描いて、身をもって感じた次第です。


<ビアフラ戦争概要>

·発生時期:1967年5月~1970年1月。


·原因:ナイジェリア東部のイボ人が「ビアフラ共和国」として独立を宣言したこと。


·主要民族:北部ハウサ人、西部ヨルバ人、東部イボ人の三大民族間の対立。


·資源問題:東部で発見された原油をめぐる経済格差と政治的緊張。


·国際関与:イギリス・ソ連がナイジェリア政府を支援、フランス・中国などがビアフラ側を支援。


·戦況:当初は膠着状態、1968年以降ナイジェリア政府が封鎖を強化しビアフラは飢餓に陥る。


·人道危機:食料封鎖により150万~200万人以上が餓死、世界に衝撃を与えた。


·終結:1970年1月、ビアフラ共和国が降伏し崩壊、ナイジェリア政府の勝利。


·影響:民族対立の深刻化、国際社会に「ビアフラ=飢餓」のイメージを残した。