日頃からコインのイラストを描いていると、どうしても造幣局ごとの違いが気になって、知りたくなってしまう。文字の刻印だけでなく、デザインのわずかな差異からミントが判別できることもある。さらに発行枚数を調べたり、神聖ローマ帝国のターレル銀貨のように各地で鋳造されたものを系統立てて理解したくなる。
そんな時は、オンラインで少しずつ調べていたのだが、どうにも画面越しでは全体像がつかみにくいし、情報も追いづらい。やはり紙の本には独特の利便性があるなあと思う。時間のある時にペラペラとめくるだけでも楽しく、思わぬ発見があるのだ。(ただ、海外の書籍は独特の匂いが。あの匂いはなんだろ?)
そこで先日、地元のコイン屋に足を運んでみた。古くから続く店で、書籍も山積みされているのだから、きっと何か面白い本があるだろう……そう勝手に期待していたが、甘かった。
「Standard Catalog of World Coinsはご存知の通り、もう絶版ですよ。販売しているショップはありません。」 店主はそう言い切った。店にあるのは自分用の資料だけで、もはや貴重品のため、売ることはできないという。他の網羅的なコイン書籍もほとんど入手不可で、国内のコインショップでは扱いがなく、神田町の古本屋でも「まず出てこない」と断言された。
うーむ。
帰宅後に日本のコインショップのウェブサイトを覗いてみても、やはり書籍はごっそり消えていた。二年前くらいまでは、まだ色々並んでいたような記憶もあるのだが…。残っていたのはイギリス関連の書籍くらいで、それ以外はあらかた影も形もない。
個人的には、物語風の著作物よりも、単純にカタログ的な書籍が欲しいのだけど。
結局、いまはeBayやメルカリを巡回しながら、少しずつ書籍を買い漁っている。まるで宝探しのように、次はどんな一冊に出会えるのかと期待しながら。
