今回のお題は、インドネシアの20,000ルピア金貨(1970年発行)


アメリカの金貨といえば、ワシが空を裂くように飛び立つ。 グアテマラの金貨では、ケツァールが静かに枝にとまる。


では、インドネシアの金貨に描かれているのは――ガルーダ。 神話の空を翔ける、半神半鳥の聖獣だ。なんとも不思議な響き。


1970年、インドネシア共和国が独立25周年を記念して発行したこの20,000ルピア金貨は、国章にもなっているガルーダ・パンチャシラを堂々と中央に据えた記念金貨。 


直径約50mm、重さ約49.37g。記念コインとはいえ、サイズはアメリカのダブルイーグル金貨を凌ぐサイズで、その構図はまるで“神話の盾”。


ガルーダは、ヒンドゥー神話や仏教にも登場する伝説の鳥。 ヴィシュヌ神の乗り物として知られ、力・知恵・忠誠の象徴とされてきたとのこと。インドネシアでは、これを国章に取り入れ、5つの理念を胸に掲げる姿で描いている。


このコインきっかけで改めてインドネシアの国章を調べてみたら、たしかにこのコインと同じだー!とまた賢くなりました(?)。


この金貨でも、ガルーダは翼を広げ、胸に盾を抱えている。 その盾には、星・鎖・バンヤンの木・牛・稲と綿――インドネシアの国家理念が

反映されている。


アメリカのワシが「自由の守護者」なら、インドネシアのガルーダは「理念の運び手」といったところでしょうか。


描いてみて気づいたのは、ガルーダの翼の広がりとその華麗なバランス、盾の複雑さ。 左右対称の構図ながら、羽の角度や爪の曲線に微妙な動きがあるということ。


羽の角度を少し変えるだけでガラッとイメージが変わるのでとても難しかった。絶妙なバランスをもって全体を華麗にまとめるデザイナーは本当にすごい!そしてイラストは難しい…


ちなみに、インドネシアでは今もガルーダが航空会社の名前に使われている。 そして、インドネシアの国鳥はジャワ鷲、ガルーダのモデルになったともいわれている。


参考 過去のオークション履歴

2025年6月18日

ヘリテージオークション

NGC PR68 Ultra Cameo

ハンマープライス19,000ドル(290万円)


当時の金価格は17,455円なので、金の価値は77.5万(価格に占める金の価値は27%)