更新頻度が低いのに、人さまのリブログ連発で恐縮です滝汗

でもニャンコ先生のこのブログ、医療者の立場から書かれたものだけど、患者家族である私の立場からしてもまさにその通り!と思い、リブログさせていただきます。

読んでいて、夫の最後の2ヶ月間を思い出し、その時の夫の気持ちを想像して、なんだか泣けてきました。

と書くと、夫想いの妻だったと勘違いしてくださる方が多いので恐縮してしまうのですが、決してそういうわけではなく、ただただ長く身近で生きてきた者として、長生きしたかったという望みが消えていこうとしている時の無念さに想いを馳せてしまうのです。


夫は去年の11月の終りに、2ヶ月間服用したTS-1が効果無しと判定されました。

その時、まだ試していなかったシスプラチンをやるかどうかという話になったのです。

それ以外にはもう積極的治療法はなく、それをしない場合はそれまでのがん拠点病院から緩和外来のある病院に転院することになる、という状況でした。

ジェムザール単体を規定量よりかなり減らして投与しただけで、骨髄抑制がとても強く出た夫。

その後放射線治療、TS-1服用を経て、体力も落ちているし、原発の胆管がんのみならず肝臓に転移したがんもとても増えて大きくなっている状態で、この期に及んでのシスプラチンは効果の出る確率の低さに比べてリスクは非常に大きいと考えられました。

主治医は、普通ならこんな危険な提案はしないけれど、夫がこれまで頑張ってきたことと、今の状態が割と元気であることから、一か八かやってみる選択もあり得るとして提案したと言っていました。

とにかく長く生きたいと言っていた夫。

提案された時点でやるかやらないか五分五分と言っていました。

でも、セカンドオピニオン先の医師(まさにニャンコ先生です)の意見や、これまでの夫の状況など諸々を考えて、私はこの危険な賭けはやらない方が良いと判断。

抗ガン剤が効く確率の低さ、もし効いたとしてもそれによって延命できる長さと、抗ガン剤の為に今できている普通の生活ができなくなること、それらを考え合わせて出した私の意見です。

長男に相談すると、即「やらない方がいい」と。

夫には家族の意見として伝え、最終的には自分で決めて欲しいと言いました。


結果として夫はシスプラチン投与はしませんでした。


それから2ヶ月足らずで逝ってしまいましたが、最後まで夫は、家族に迷惑かけるから家族の意見に従って抗ガン剤は諦めた、と話していて、そこに私は引っかかりはずっと感じています。

最終的な決断は自分自身でしたはずなのに、家族のせいにするんだなぁと。

でも夫はずっとそういう人だったので(何かあったら人のせい)、まあ最終局面まで変わらなかったということで諦めてますが。


これが正しかったのかどうかなんて、多分誰にもわからないのでしょうが、私はこれで良かったのではないかと思っています。

抗ガン剤をしていたら、あの最期の普通の1ヶ月は、確実に無かったと思うのです。

10ヶ月間鼻と脇腹から出ていた管が抜けて温かい湯船に浸かれるようになったこと、家族揃っての外食、普通のクリスマス、普通の年越し、家族みんなで祝う新年、親戚にお年始の挨拶に行くこと、会社の人達との飲み会、そして家族旅行。

抗ガン剤をしていたら、年末年始は確実に入院中でした。
悪くすると年を越せない危険もかなり高いと言われたのです。


夫がどう思っていたかは最期までわかりませんでしたし、無念はどうやっても消えなかったと思いますが、やはり最終的に治療をどうするかは、その人の生き方で選ぶべきで、家族の意見に従ったというのも夫の生き方。

これで良かったのだと思いたいです。