日本で2つしかない、ファーム・アニマル・サンクチュアリの1つ。
岡山にある「HONEY'S FARM SANCTUARY(ハニーズ ファーム サンクチュアリ)」。
サンクチュアリとは、聖域や自然保護区などと訳されますが、
主に、畜産動物と呼ばれる動物達を保護し、人間に利用されることなく、穏やかに暮らすための安住の地、ということです。
今年で12歳になるこの豚さんの名前がハニーなので、ハニーズという名前がついていると思われます。
ハニーズさんでは、牛、豚、鶏、馬、ヤギ、ウサギ、犬、猫などの動物が穏やかに暮らしています。
上記の映像の2匹の豚は、ロック君とパクワンちゃん。
2021年6月、養豚場で利益にならない豚として淘汰される(殺される)ところを保護された子です。
ロックん、パクちゃんという愛称で呼ばれているようです。
ハニーズ ファーム サンクチュアリを運営されているのが香織さんと、旦那さん。
香織さんは、16歳から畜産業に35年関わり、
畜産のハードな業務だけでなく、獣医学まで勉強され、精通しており、
さらに その類まれな能力を、自身の利益にすることは一切なく、自身は贅沢を一切せず、
畜産動物たちを救うためにフル活用し、人生を捧げるという、日本で唯一無二の方です。
昨日は、兵庫県尼崎市で、「Ethical VEGAN Fest 12th Impact」というヴィーガン向けのフェスがあり、そこで香織さんが講演されました。
その一部を動画でアップされた方がいらっしゃいました。
ヴィーガンにとっても貴重なお話ですが、肉を食べている方もぜひ聞くべき内容だと思います。
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自分は16の時から畜産ヘルパーという形で、農家をずっとわたり歩いていた。
その頃は、まだ狂った畜産というのはなかった。
バブルが崩壊した時くらいから、工場畜産という形に変わっていった。
小さい農家が食べれなくなって、大手がどんどん買い取っていくという形になっていった。
昔は、豚肉・牛肉・鶏肉の価格は結構高くて、少ない出荷であっても食べていけた。
バブル崩壊あたりからは安くなり、特に豚肉・鶏肉はとんでもない価格に落ちていった。
例えば、月に1頭、2頭の出荷で食べていけた農家は食べれなくなり、
数頭しかいなかった同じ場所に、30頭・40頭って密飼いをしていって、薄利多売になっていった。
消費者がそういう状況を見て、ひどい農家さん、可哀相と言う。
でも、スーパーで特売にすっ飛んでいくお母さん達は、可哀相と言っている消費者たち。
私は農家側で仕事を見てきたので、農家さんを悪とは思っていない。
消費者が食べているんであれば、知らなければいけないことを見た上で選択しなければならない時代になっている。
豚は、6か月~8か月で出荷になる。
うちにはロックんとパくちゃんという豚さんがいる。
その子達が生後2~3日ぐらいで、とんでもない状況の養豚場からレスキューされてきた。
この子達は、劣悪環境でレスキューされたので、体の状態も皮膚も悪くて、
ハニーズで一転二転しながら生きてきたけど、
6か月~8か月の時期に、歩けないという状況になってきた。
去年のデータで、出荷時期の豚は、75%が脚弱症。
歩けない、歩きづらい、足の先・骨が壊死していくっていう事がある、
そういう病気の子達が75%。
誰も喜んで元気に歩いて、と畜場へ向かう子はいない。
皆スタンガンを当てられて、歩けない子を無理やり引っ張っていく。
豚肉は、和牛と比べると、単価がとても低いからどんどん環境が悪くなっていく。
病気になっても治療することはないし、殺して淘汰する。
豚はオールイン・オールアウトと言って、100頭なら100頭全部動かす。
赤ちゃんの離乳時期は通常なら40日だが、今は最短で2週間。
2週間ミルクを飲ませただけで、お母さんから離して、
100頭くらい集められて、出荷まで3ステージで肥育される。
集められた豚の中には、元気だけどサイズが合わない豚がいる。
最後のと畜場に出荷する時は、90kg~110kgに豚のサイズを合わせていく。
逆算して、今、この体重・大きさだったら間に合わない豚がいる。
そういう子達は生きていけるが、各ステージの段階で淘汰される。
淘汰は4回。
まず、生まれた直後。
今非常に狂っているので、お母さんを巨大化させるように品種改良している。
豚の単価が安いから、大きくせざるをえない。
養豚家は、半年間 餌をあげて、どれだけの枝肉が取れるかが勝負になる。
その時に豚のサイズを大きくするという事は、長くしていくことになる。
ロングボディにしていく。
豚は単価が安いが、唯一、リブと呼ばれるバラ肉は少し高い。
少しでも高いバラ肉を取るために、あばらのところを長く品種改良されている。
強い人工授精で遺伝子を入れていくので、
豚のお母さんのおっぱいは14個くらいが基本だけど、すごいと20数匹赤ちゃんが産まれてくる。
育つわけがない。おっぱいがないから。
結局その段階で、体のサイズの小さい子や奇形である子は、生まれた直後にコンクリートで叩き潰していく。
次に、ミルクが終わる時期。
お母さんのミルクから卒業する時に、サイズが小さい、もしくは奇形である子は、コンクリートで叩いていく。
自分が養豚場に勤めていた時に、堆肥場って言って、豚のうんちやおしっこを土に還る、うんちを集める場所って言うのが必ずあった。
そこの隣には、何も置いていないコンクリートの3つの壁がある部屋が、必ずどの養豚場にもある。
そこは淘汰する場所。
その場で淘汰ができないサイズの子は、堆肥場の隣のコンクリートまで連れていって、
片手で持てないサイズであれば、ハンマーで潰して、そのまま堆肥場につっこむ。
そうやって、サイズに合っていない子というのは、潰されていく。
1頭の命をいただきます、大事に食べてねと思っているかもしれないけど、
私が高校とかで食育でよくお話していたのは、1頭ではないということ。
どれだけ、その間に淘汰されていくか。
農家さんは1頭を大事にできない。安すぎて。
私が勤めていた頃だと、1頭あたり最大利益で8000円にも満たないと言われていた。
餌代出して数千円の利益。そうやって農家さんは食べていっている。
だから、頭数を入れていくしかない。
1頭じゃ食べれない。給料も出ないし、スタッフも雇えない。
あまりにも安すぎる。消費者が欲しがるのでそうせざるをえない状況。
畜産の世界は、悪いとか良いとかいう問題ではないが、閉ざされている。
見えないようになっているし、逆に皆も見たくないから閉じている。
私は、自分の知っていることとか、幸せな動物たち、
保護された後、本当はこういう動物だと知ってもらう場所が日本にはないので、サンクチュアリを起ち上げた。
私は、膝から崩れ落ちてスーパーで泣いたことがあって、
もう養豚の世界が無理だと思ったことがあった。
養豚の世界では豚に名前をつけてはいけないと言われているが、
私は全ての何百頭という子に名前をつけて、ファイリングして、性格から傷1つからすべて書いている人間だった。
1番かわいがっているポーキーという子がいて、その子が出荷になった。
大手にいたので、ブランドの豚肉を持っていて、
大手のスーパーと契約していたので、どこのスーパーでうちの養豚場のブランドがどのパックなのかが分かる。
1番大事にしていたポーキーが出荷された後に、スーパーに行って、ポークコーナーに行った。
本当はピッグだけど、ピッグコーナーだと誰も買わないから、ポークコーナーになっている。
牛もそう。カウだけど、ビーフコーナーになっている。
ポークコーナーで夕方、うちのブランドの子達がパックになっているところにいた。
と畜の日を数えれば、いつスーパーに並ぶかが分かるから。
その時に特売という形で、セール、30%オフというシールを貼られていた。
その時、空耳で、ポーキーくんの声で
「お母さん。僕ポークじゃなくて、ポーキーだよね。」
っていう声が聞こえてきて、
お客さんがいる中で、ポークコーナーの前で崩れ落ちて、ギャン泣きした。
そのまま、もう無理だなと。
自分しか守る人がいなくて、自分だけしかケガも見てやれないし、
誰かに蹴られた後も、自分だけしかケアをしないから、
絶対に踏ん張って、吐きながら泣きながらずっと勤めてて。
でも、もういいだろうと。護る側に入ろうと。
どんなにお金がかかってもやってやろうと思って、サンクチュアリという形で、
農家さんとのつながりもずっと持っているので、そこから助けあげていこうかなって感じで、スタートしていったという経緯がある。
日本のサンクチュアリはなぜ増えないのか。
まず1つ目は寄付文化がない。すごくこれは大きなこと。
私たちは、主人か私かどちらかがサラリーマンで働く、自営ではなく、必ずお金が入る形にして、それをまるまる運営費に充てている。
1円も残さずすべてつぎ込んでいる。
残った1人が、朝から晩までずっと世話をしている。
ボランティアを呼べばいいじゃないって言われるけど、支援にしても、ボランティアにしても一時だけ。
ボランティアも365日のうちに、何日くるのか。
ボランティアが来てない時の方が、300日以上。
私はルーティンワークで全てのことを、朝5時から夜22時までやっている。
ボランティアがこないと回らないという状況は危険すぎて、やっちゃいけないことだと思っていて、
運営も自分達ができる範囲でやっていかないと、翌月に牧草買えない、どうすんのってことになる。
今、牧草が高騰していて倍額になっている。
本当に厳しくなっていて、仕事増やしたり、夜間バイト行ったり、全てやってお金を作っている。
支援だけに偏ってしまうと、ギャンブルになってしまう。
私たちは、このスタンス。
主人と2人で、どちらかが働く、どちらかが世話をする。
基本スタイルとして、これは貫いていく。
日本のサンクチュアリが増えない理由、2つ目は保険制度の違い。
日本は保険制度が確立されていて、例えば奇形が生まれたとしても焼却処分して、焼却証明書を持っていけば保険金が下りる。
海外だったらそんなものがないので、利益にならない子が生まれたら、もらってくださいと言ってサンクチュアリに流される。
日本の場合は、サンクチュアリに流すくらいだったら、保険金をもらって新しい子を買った方が農家さんにとってはいい。
だから私たちは助けることもろくにできない。
私がやっていることは、劣悪な環境の農場にボランティアで入って、信用してもらって仲良くなりながら、
この子助けたいんだけど、お金は払えないけど、私にケアさせてもらえないか、という感じで昔からレスキューしている。
今はそういうやり方か、競りで買うしかない。
沢山の人たちがサンクチュアリをやりたいと言ってくる。
私たちが1番に考えているのは、家畜の世界って、臭い・汚いっていうイメージがすごくあるので、まずそこから変えなきゃいけないっていうのがある。
私のサンクチュアリに来たことがある人は分かると思うけど、めちゃくちゃ綺麗にしている。
すごく掃除に時間をかける。
臭いを絶対出さない。
臭いを絶対出さないってことは、糞尿にすごく気をつけている。
臭いを出さない糞尿っていうのは、食べ物に気をつけている。
すごく考え抜いて餌を与えて、水分量の少ないしっかりしたウンチを出して、それを堆肥化させる。
土に戻すっていう作業をしっかりやっている。
臭いを出す前に、超スピードで土に還すというやり方をして、臭いを出さないようにしている。
来た人も堆肥場の山と説明されても、そこにあるんですか、っていうくらい臭いが出ていない。
食べ物も気をつけているし、そこに1番お金をかけているところだし、
そうしないと、地域の人たちとも上手くやっていけない。
自分達が後から入ってきた新参者なので、地域の人たちに対しては、
私たちの土地だから何やってもいいでしょ、っていうスタンスは絶対とってない。
いつでも接してもらってありがとうございます、っていう姿勢でやっている。
サンクチュアリをやりたいって人たちに、まず地域の人たちをつながらないといけないよと言っても、なかなかそこが分からない。
なんで自分の土地なのに? って感じ。
本当は大きい動物飼うってそこが1番大事なこと。
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バブル崩壊後、消費者が安さを求め続けた結果、養豚農家の利益はほとんどなくなり、
サイズの合わない豚、奇形の豚は、農家によって コンクリートや壁に打ちつけられる、あるいはハンマーで殴り殺され、淘汰されるようになっていったのです。
出荷される6か月~8か月までの間に、淘汰の機会は4回。
生まれた直後。そして、離乳直後を含む3ステージごとに、殺されていくのです。
これは今もなお行われていることであり、そして豚肉を食べる人たちはこの大虐殺を支援しているのです。
ぜひ自分、あるいは自分のペットが、コンクリートの床に叩きつけられたり、ハンマーで殴られたりして、血まみれになり、死に絶えるまで苦しみ続ける様を想像してみてください。
あなたたちは戦争に反対と言いながら、一時の欲のためにその大虐殺を行っているのです。
人間が行ってきた品種改良により、短期間で太る体になってしまった豚たちは、ほとんどの豚が脚弱などの病気にかかるようになりました。
その症状は、ロックんとパクちゃんにも表れてしまい、大きくなるにつれて、立つことも歩くことも難しくなりました。
香織さんは、歩けなくなったロックんとパクちゃんを24時間つきっきりでケア、リハビリをされました。
豚達にハーネスがついているのは、立ち上げさせるためです。
香織さんたちの必死のケアの結果、
自力で上半身を起こすようになり、
自力で立ち上がるようになり、
自力で2歩 歩くようになり、
自力で9歩 歩くようになり、
ついには、散歩に出るようになったのです!
あなたの食べている豚肉、犠牲になっている豚は決して1頭ではないのです。
何頭もの豚たちの苦しみと犠牲があって、目の前の食卓に並んでいるのです。
それが感謝やいただきますと言えば済む問題なのかを、しっかり考えてほしいと思います。
商品である豚たちに、名前をつけて、性格まで把握していた、そんな優しい人が
1番可愛がっていたポーキーが、殺されてバラバラにされて売られているとはどれほどの苦しみなのでしょうか。
ポーキーは、殺される最後の最後、お母さん助けて、と鳴き叫んだに違いないでしょう。
日本でサンクチュアリを作るというのは、色々な覚悟が必要になります。
日本では寄付も集まらないし、大動物の飼育は一般的に近隣住民に煙たがられます。
世話は朝から晩までの激務、膨大な知識が必要、お金は自分の趣味に使うことなど一切できず、全て動物達のために使うことになります。
その中で臭いを出さないように工夫し、近隣住民とコミュニケーションも取られています。
すごい方です。
本日インスタが更新され、香織さんが昨日の講演のことに触れておられます。
ハニーズ ファーム サンクチュアリさんは、基本的には寄付に頼らず、旦那さんの稼ぎで運営されています。
しかし、物価の高騰によって餌代が倍になり、もう生活費を削るところがなく、かなり厳しい状況にあるとインスタのストーリーに書かれていました。
もうそのストーリーは消えており、仕事を増やしたり、夜勤をしたりして賄っておられるようですが、苦しい状況なのに変わりはないと思います。
もし、ハニーズ ファーム サンクチュアリさんを応援したいという方がいらっしゃいましたら、
支援者になってあげてください。
↑こちらのページに、ペイパルによる毎月支援や、1回の支援、
amazon欲しい物リスト、グッズ販売などのリンクがあります。
この機会に、ぜひ畜産動物たちを助けてあげてください。
よろしくお願いします。
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