【作品集】蒼色で桃色の水 -7ページ目

【作品集】蒼色で桃色の水

季節にあった短編集をアップしていきます。

長編小説「黄昏の娘たち」も…

 ジョージはビルの入口で様子を伺っていた。

「始まった。…やっぱりあの総長だったんだ。やっぱり放蕩息子か…陽が完全に沈んだな。おっヴラドのお出ましだ。黎まだか?中の奴等が出てきやがった。取り敢えずヴラドの援護する」

ジョージはバイクの後ろに身を潜めるとそこからエアガンでヴァンパイア達に狙いを定めた。一発ずつ確実に相手に当てて行くと、当たった処から煙の様なものが出てきている。殺傷力は弱いがこれなら確実に相手を弱らす事が出来る。

「亘。この弾奴等に効くぞ…やっぱりあいつはすげえよ。もう地下の扉の方に行ってやがる」

ジョージはまたバイクに跨るとエンジンを掛けた

「ジョーまだ動くなよ。もう俺等も見えてる」

黎明の声で道の先の方を見ると先の方でキャンピングカーがパッシングしているのが判った

「オーケー。急いでくれよ。地下部隊調子はどうだ?」

「おうよ。誰が放蕩息子だ!俺様をなめるなよ。でも、どんどんわいてきやがる。おやっさんは死体の処理で大忙しさ」

ジョージは少しニヤリとすると荷台に乗っけてある段ボールの横にナイフで大きな穴を開けると、ナイフを鞘に戻した。バイクのエンジンを吹かすとウイリーさせてビルの中へと入って行った。

ジョージはバイクで奴等に体当たりしながらあっちこっちに段ボールの中に入っている缶を落として行き、全て落としきると、ビルの前を車が通り過ぎるのを確認してジョージもその後を追った。

 亘はマンホールの近くに車を止めると、自分の荷物と神父達の荷物を取ると中へ放り投げた

「今、残りの道具を落としました。がんばってください」

無線機にそう言うと礼二が運転してきたバイクに跨った。黎明も荷物を背負うと手にジョージ用の補充弾を持ちながら外へと出るとそれをジョージに投げ渡した。

茉莉子もエアガンを構え、ポケットに入るだけのカートリッジを入れ降り立った。

唯一もほぼ同時に車から降りるとドアを閉めた。

黎明、茉莉子、唯一の三人は確固たる足取りで歩き始めた。ジョージと亘のバイクが横に並ぶと二人で親指を立て合うとエンジンを同時に吹かしたジョージの

「BEAT TO DEATH,」の叫び声と共にビルの中へと入って行った。

亘もそれに続き、黎明達も中へと入って行った。

「あっちも始まったみたいだな」

「ええ、神のお恵みを…」

「でも、此奴等本当に俺達と同じ人間だったのか?」

「そうですよ。ヴァンパイアはよく誤解されていますが、なかなか小説や映画のように巧い具合に仲間は増やせないんですよ。単なる食料として殺されたものは殆どがこの様に変異した状態でしか奴等の仲間にはなれない。生まれたばかりの者も仲間を作る事は出来ない。長い時を生き、熟練した者だけが完全なるヴァンパイアを作る事ができる。それも手順を踏まないと出来ない。でなきゃ、この小さい島国はとっくにヴァンパイアに占領されていたでしょう」

「へえ、そうなんか…じゃあ、こいつらは奴等の食べかすか…何か許せないな。好きでこんな身にされたわけでもないのに、死ぬこともできないなんて…」

礼二は次から次にわき出てくるゾンビと化したヴァンパイア達を時には蹴り、時にはエアガンで撃つを繰り返している

「何十年か分でしょうね。私達の手で成仏させて挙げましょう。もう一度照明弾を撃ちますよ。礼二君頭を下げて」

そういうと神父は礼二の後ろから撃つと

「今のが最後です。少し下がってもう少し灯りを増やした方がいいですね。弾はまだありますか?」

「もう、ボウガンはとっくに使い果たした。後はこのエアガンだけ…それも残り少ない。そっちは?」

「こっちも残り少ない…接近戦で行くしかないですね。首と腰の骨を折るんです」

「痛っこいつ俺を咬みやがった…俺もこうなっちまうのかよ…あああーーー」

神父はヴァンパイアに咬まれて混乱している礼二の肩を思いっきり掴んだが振り払われると今度は思いっきり頬を殴りつけた。

「落ち着きなさい。咬まれた位大丈夫です。致死量の血を吸われるかしない限り奴等の仲間にはならない。何処を咬まれた?」

礼二は神父に腕を差し出すと、空いている方の手で何発か弾を撃った。神父は傷口に聖水をかけて呪文を唱えると

「これで大丈夫ですよ。また咬まれるような事があれば、コインでも十字架でも聖なる物を傷口に当てるといい。でも咬まれない事が何よりです」

礼二は立ち上がると

「わかった。でも今唱えたのはお経じゃなかったか?」

「あっ気付いてしまいましたか?私は元々密教の修行をしていましたから…言霊って聞いた事はないですか?言葉には力があるのです。神も言っておられます。最初に言葉ありきとね」

「それは判るけど…おやっさん、じゃあ何で今は神父なんだよ。修験道のままじゃヴァンパイアを倒せないのか?」

「まあ私も君達と同じですよ。兄と一緒にハンターになってから神父の方が…何ていうんでしょう、今の若い人がよく言う」

「らしい…か?」

「そう。…らしいと思ってね。どんな神でもよい神を心の底から信じればいいのですよ。見ていて下さい言葉の力を…臨!兵!闘!射!皆!鎮!裂!在!全!」

そう神父が唱えながら手を内縛、外縛、剣、索、内獅子、外獅子、日輪、宝瓶、隠、力印を結び四縦五横の線を空中に切ると一瞬光の矢が放ち近くにいたヴァンパイア達が消失した

「すっげー。やっぱあんた凄いわ。最初からそうやってくれれば良かったのに…おいっどうした?」

礼二は蹲っている神父に寄ると

「これは凄く気力を使う…ので…あまり使えないのです…まだまだ私も修行が足りん」

「歩けるか」

「大丈夫です。一度入口に戻りましょう。亘が何か差し入れてくれたようですし…」

「どうにか中に入れたわね。神父様大丈夫かしら」茉

莉子は黎明の後ろを歩きながら呟いた

「おかしい…静か過ぎないか?あいつが全部倒したのか?」

黎明は周囲を見ながらゆっくりと進んでいくと目の前に拓也が現れた

「黎さん。前っ!拓也さんが…」

「唯君。あんたの後ろにも」

三人は挟まれたことに気付いた。

茉莉子は唯一の背中を引っ張るとエアガンをカートリッジの中身がなくなるまで撃ち続けた。

黎明は剣を抜くと拓也へと向かっていった。

唯一も体勢を整えると茉莉子の援護を始めた。

 ジョージと礼二達のバイクが神殿に先に到着した。

ジョージは自分が積んできた荷物を降ろして

「少しでも明るい内に何とかした方がいいな」

ジョージが大きなマンホールの蓋を開けると、

「先ずは、あそこを塞いで彼奴らの逃げ道を塞がなければ…」

神父は懐中電灯で地下道を照らすと、ジョージと礼二に近くにある材料を集めるように指示した。二人がそれを調達しに離れて行くと一人残った神父はマンホールの内側に祈りの言葉を呟きながらペンキで印や言葉を記し始めた。

ジョージが金網を持って戻って来ても神父は集中しているようで何も反応を示さなかったが、ジョージはカンテラを持って下へ降りて行きその金網で下水道を塞ぎ始めた。作業を続けていると、神父も降りてきて杭の束をジョージへと渡した

「これを差し込んで、切っ先は神殿の方へ向けてくださいね。奴等は尖端恐怖症ですから…礼二君が戻ったら君は君の役割に戻った方がいい。ジョージ…君は昔から落ち着きがありませんでした…どうか死なないで下さいよ。主イエスの恵みが全ての者と共にありますように(ジョージに祈りを施すと)私も作業を続けます」

神父はそれだけをいうと壁にまた呪文を書き始めた。

二人は沈黙の中作業を続けていた。

礼二は戻って来ると荷物を全部下へと降ろし、暗く湿った鬼哭啾々の通路内に持って来た全ての蝋燭を灯し始めた。

「こうすると何か冥界に来たみたいだな…」

「マスター。俺、あんたの事結構好きだぜ…何か照れるな…この先三〇メートル先が神殿だ。向こうの方に既に何人か奴等がいる。今はまだ様子を伺っているが何時襲って来るか判らないから、あっちには絶対に背を向けるな…神父様を頼むぜ」

「ああ任せな。ジョー、俺もあんた好きだぜ。これが終わったらお互いに潰れるまで飲もうぜ、奢ってやるよ。おやっさんも…あんたも結構いける口だろ」

「ええ飲みましょう」

「そうだな。じゃ、俺行くわ。グッドラック幸運を祈るよ。奢ってもらわなきゃなんないから、二人とも死ぬなよ」

そういうとジョージは上へと登っていった。

神父はマンホール周辺の壁に呪文を書き終わると杭の束を背中に背負った

「さあ、我々も行きましょうか」

「何かそんな格好をしていると爺さんは山にって感じだな。用意はいいか?照明弾撃つぞ」

二人は同時に目と顔を背けると道内が閃光と共に明るくなった。偶々弾は一体のヴァンパイアに当たったらしく悲鳴が響き渡った。

「ざっと六人。俺はこれでも浜じゃ有名だったんだぜ!何人でも相手できるぜ」

「待て。先ずは一体ずつ確実に始末して行くんです。巧く刺せるかどうかは力ではなくナイフの使い方によるのです。復活して挟み撃ちに合うと洒落になりませんよ。速戦即決で挑みますよ」

四月三十日(金曜日)


 その日最初に起きたのは茉莉子だった。

茉莉子は近くのスーパーで買い出しを済ませると百合子のマンションへと戻り、皆を起こさないように気をつけながら、シャワーを浴び戦闘服に着替えた。

装備を全てつけると。

黎明に貰ったネックレスを確かめ、何度も袖を上げ下げしてボウガンが出やすい長さを試すと鋏で切り込みを入れ、裾も同じように切り取った。

茉莉子は台所へ向かうと米を研ぎ、炊飯器にセットすると一番大きな鍋に湯を沸かし始めた。

電話の子機に手を伸ばすと神戸の母親へと電話した。

コールを鳴らしながらも豆腐やネギを切り、みそ汁を作る手は止めなかった。

「あっお母さん?茉莉子。どうそっちは元気にしてる…うん。連休?帰れなくなっちゃった…姉ちゃん?元気だよ…今姉ちゃん家。もうすぐ帰って来ると思う…今?料理してる…たまには食事作ってあげようと思って…うん…頑張ってるよ。…また三人で旅行にでも行きたいね…えっ違うよ。玉葱切ってるから目がしみるだけ…夏には帰るよ…うん。お姉ちゃんも私もお母さんの事大好きだからね。仕事無理しないで…うん私は大丈夫…じゃ、切るね…あっ…それと…もしかしたらしばらく旅行に行くかもしれない…そう、姉ちゃんも一緒。まだ分かんないけど…心配しないで…頼りがないのが無事の知らせっていうでしょう…本当に心配しないで…じゃあね。バイバイ」

茉莉子は電話を切ると声を出さないように気をつけながら啜り泣いた。

この電話で茉莉子の人生に一区切りがついたのだった。

茉莉子はそのまま鮭の切り身を焼きながら卵を割りだした。

部屋にいた殆どの者が今の電話を聞いていたが皆眠っている振りを続けていた。

茉莉子は着々と料理を続けていたが魚を取り出すとき脂が跳ねると

「熱っ」と声を挙げると我慢が出来なくなった礼二が台所へ顔を出した

「おはよう。いい匂いだね。何かさぁ味噌汁の香りで目覚めるのって気持ちいいよな。日本人で良かったって思うぜ。人数多いから大変だろ…手伝うわ」

茉莉子は卵をかき混ぜながら下を向いたまま

「マスター。ありがとう…。礼二さんの場合はお手伝いさんが作ってくれてたんじゃないの?それとも、朝はパン?」

既に普段の茉莉子に戻っていた

「まあね。ご令息だからさっ!出汁巻きか…いいね。庶民の食卓は…俺、魚見るから、茉莉ちゃんはおいしい卵焼き焼いてね」

礼二も態と戯けてみせる

「じゃぁ俺食器出すわ」

ジョージが顔を出し

「俺は何すれば…」

「私は…」

「あの…僕…昨日はすみませんでした」

「唯君。大丈夫よ気にしてないから…みんなもおはよう。大の男達がそんな処で突っ立ってないで早く一人ずつシャワーでも浴びて…見なさい!私のこの完璧な戦闘準備を」

そこへ黎明が玄関から入ってきて

「お前声でかいよ。外まで聞こえてたぞ…ふーん完璧ねぇ。頭それで行くの?」

茉莉子はさっと頭に巻いていたタオルを取ると

「みんな寝てたからっ!レイあんた早くシャワー浴びなさい。マスター達は…後はここ宜しく…唯君はこっちに来て」

茉莉子は台所に置いていた紙袋を持つとリビングへと入って行った。唯一は黙ってついていき、黎明はそそくさと風呂場へと消えていった。残った男達は料理の続きに取りかかった。茉莉子と唯一はソファーに座ると

「手首見せて…へぇ傷口は治ってるのね。これ飲みなさい。鉄分とビタミンBのサプリメント。それとご飯もいっぱい食べて…あと聞いときたいことがあるんだけど、いつもあんなことしてるの?」

「いいえ…ヴラドを助けたくて」

「サバタリアンって何が出来るわけ?あの時教会でタカシって子に襲われた時、たいしてっていうかなんの効果もなかったような気がするのよね」

「父さんから聞いたのは、サバタリアンの人は勘がするどくって霊やヴァンパイアを見つける能力があるって…それとニンニク…」

「ニンニク?ニンニクやら十字架やら…それがなんなの」

「臭いとかそう言うのじゃないけれど、近寄りづらいって…特に体が弱っている時や弱いヴァンパイアは触れるだけで倒せる人も中にはいるって言ってました。修行をしなきゃいけないみたいですが…ところでヴラドは?」

「心配しないで。まだ寝てるんでしょう。まだ彼らの朝じゃないから…そういえば、レイってずっとラドウの処に居たのよね。どうしてサバタリアンだってバレなかったのかしら…近くにそんな危険な人間を置いておくかしら」

「それは、気付かれないようにわざと十字架のネックレスをいつもつけていたみたいですよ」

黎明が風呂から上がってくると礼二が四人分の食事を運んできて

「取り敢えず、神父様も先に食べて下さい…ジョーはシャワー先に入っちゃって、亘はもう少し待って今残りの魚焼いてるから…」

今度は礼二がこの場を仕切り始めた。

 全員が食事と準備を整え終わった頃にクローゼットの扉が開いた。


 ヴラド・三世・ドラクレア・ヴォイエヴォドは椅子に優雅に腰を掛けると全てを悟っている表情で全員の瞳を覗き見ると中世の肖像画を思わせる趣で身じろぎもしない。礼二はやたらとコーヒーを口に運び、ジョージは煙草を噴かし、亘はナイフの手入れをしている。神父は内心神に祈り、茉莉子は黎明の手を握りしめ、唯一は縋るような目で黎明を見つめ、黎明はヴラドを睨みつけている。

最初に口を開いたのはヴラドであった

「その瞳を見ると二十年前の事が昨日のように思い出される。私の力の無さの為に本当にすまなかったと思っている…」

「お前に謝られる筋合いはない。それに俺達はお前の仲間になったわけじゃない。ラドウを倒したら次はお前を殺る。今はたまたま目的が同じだけだ…今から作戦を言う。叔父さんは例の抜け道から潜入し、ヴァンパイアの退路を塞ぐ、そこは最終的には俺達の退却路にもなる。ジョーと亘は俺の援護をしながら一階に火をつけ地上への逃げ道を断つ、あんたは自分のやるべき事をやればいい…マコと先輩、唯も自分が好きなようにすればいい…もう止めても無駄だろうから、ただ行くなら俺から離れるな」

唯一はヴラドの肩越しに立つと

「僕は父さんと一緒に行きます。百合子さんだけじゃなく結花子さんも助けます。そして父さんも…」

「私もレイと一緒に行く。お姉ちゃん達を助けなきゃ…いざとなった時の覚悟はもう出来てる。それにあんたが私を守ってくれるんでしょう」

そういうと黎明をじっと見つめた。

「何の冒険もしなけらば何も得られないってな。勿論俺も行くぜ。今の作戦だと神父様の処が手薄だな…俺がお供するよ」

黎明が無線のスイッチを入れると皆それにならってスイッチを入れた

「あんた。本当に俺達と一緒に戦うのか?神殿に入ったら最後、今のあんたの能力じゃ絶対に抜け出せないぞ。それに唯がなんと言おうが俺が阻止する!」

「元より覚悟の上です。狼は狼を知り、泥棒は泥棒を知っている。茉莉子、君に頼みたいことがある。姉さんに伝えて下さい。君の頬に人生の皺が深く刻みこまれ、太陽の下穏やかな顔で過ごす君の姿を私は望んで居ると」

「そんな事は自分で言いなさいよ。それより、何百年も共に生きてきた弟を貴方は殺せるの?」

ヴラドは茉莉子を深い眼差しで見つめると

「弟だからこそ、この手で葬ってやりたいのです。彼は人を殺しすぎた…私も同罪です」

茉莉子は食い下がった

「本当の事を聞かせて…貴方は私やお姉ちゃんを仲間にするつもりだったの?」

「正直、貴方は仲間にするか、殺すつもりでいました。そうすれば魔女達の思惑は阻止することができる。しかし君の血は私達には合わないものだった。きっと魔女達もそれが狙いだったのでしょう。百合子も最初はそのつもりでしたが彼女の心に触れた時、もう一度生きたいと思ったのです。彼女と二人で人里から離れ彼女が天に召される迄共に生き、私も彼女と共に滅びようと…それが私の夢でした。しかし自分の不甲斐なさから彼女をラドウに奪われてしまった…今となっては私の命に換えても彼女を守るしかない」

黎明の方をじっと見つめると

「もう君からは、大切な者を奪うわけにはいきませんから…貴方達はもう出発しなさい、私も直ぐに追いかけます」

全員廊下へ出て行くと

「あんなに弱ってて大丈夫なのか」

と礼二が口にすると、唯一が

「まだ、陽は沈んでいません。それに…きっと銀行によってから来ると思いますから大丈夫ですよ」

「銀行?」

茉莉子は疑問を口に出していた

「血液バンクです。ヴラドは人を殺さない変わりにお金で業者から血を買っているんです。でも生身の人間から吸うのと違って対したエネルギーにはならないんですが数時間は本来の力を発揮できるんです…僕達も急がないと」

全員が車の前迄来ると

「先輩。神殿に入るのは俺の合図に従ってくださいよ」

「ああ、判ってる。死ぬなよ」

礼二はガッツポーズを作るとバイクに跨り、後ろに神父を乗せた。ジョージもバイクに乗ってヘルメットを被った。

茉莉子は百合子の部屋から持ってきたシャンパンを掲げると

「みんなっこれ冷やしておくから、全てが終わったら、このクリューグで乾杯しましょう」

皆威勢良く雄叫びを挙げると一斉に新宿の街を目指して出発した。