子供の頃から、誰でも先生から楽譜をよく読みなさいと言われる。そもそも楽譜にはいろいろな読み方があるのだが、レベルが上がるにつれてそれはだんだん変化するはず。
で、ここで述べたいことは、一般に楽譜に書いてあることを読むという行為が、無意識のうちに受動的になっていること。ここにこう書いているから、こう弾かねばならない、こう弾くべきだというところで演奏している。
そうではなくて、受動的に読みつつも、そこには能動的に読む感覚があるべきだと思う。それは、例えば、テンポ指定があったとして、moderatoなら、どのテンポで弾くべきなのかを能動的感覚で楽譜を捉えなければ、自分の中での確固たるテンポが決まらないと思う。もし、誰かから、どうしてそのテンポで弾くのですか?と問われた時に、自分の中で確固たる理由がなければいけないと思う。テンポだけのことではなく、なぜそう弾くのかを自分の中で確固たるものがあって、それで初めて、演奏は確固たるものになる。それが芸術的な演奏につながる。