人は無意識のうちに目に見えるものばかりに気をとらわれがちだと思う。でも、と同時に目に見えないものも感じている。それは意識しないと認識できない。目に見えない何かの方が、目に見えるものよりも、多分多いに違いない。日本には、侘び寂びという言葉がある。その多くは目に見えないものを指していると思う。目に見えないものを大切にすること。その考えを音に表したのが武満徹なのではないかと個人的に感じる。どの作品にもそれを感じる。それは実際には音として鳴っているのだが、もしかしたら、鳴っていないのかも知れない、空耳かも知れないという、実に曖昧な世界だ。