まずは、自分の出している音に満足しないこと。全てはそこに尽きる。自分の出している音がホールの後ろまで届く音なのか?本当に美しい音なのか?という実に小さな素朴な疑問を持つこと。それがなければ何も始まらない。不幸にも自分が出している音を客席で同時に聴くことは出来ない。どんなに素晴らしい音を出している大ピアニストであっても。しかし、いかに想像するかはできるはず。そして、自分の音に満足しなければ、どうすればいいのかをまずは自分で探す。そして納得出来なければ、習いに行くしかない。という、ごくごく単純なことだと思うのだが、達者に弾くことはできても、音が美しいピアニストは少ない。中には音じゃなくて音楽の方が大切という考えもあるだろう。でも、どちらも必要だと思う。ベルリン・フィルやウィーン・フィルが素晴らしい要因は美しい音で素晴らしい音楽を奏でているからだ。音楽が素晴らしいのに、音が美しくないとすれば、それは非常に残念なことだ。もっと踏み込むとすれば、音と音楽を別に考えるということ自体、ナンセンスであり、音と音楽は切り離せない。美しい音で奏でるから表現可能な音楽があるのだ。