誰しもが精神宇宙を持っている。その果てしない、時空を超えた永遠の宇宙を意識して、自分の内なる声に耳を傾けるのは大切なことだ。特に芸術と共に生きるならば必然だ。日々、追われた時間を過ごしている者には、この大切な時間が無いのではないか。自分に内存する宇宙を旅するのだ。そこにはさまざまなことを発見することができるはず。例えば、自分にとっての美とは何か。生きるとは何か。品格とは何か。善悪とは何か。欲求とは何か。などなど。自分はどういう趣向でどういう思考でどういう感性なのかを理解するのに多少なりとも客観性を持った自覚ができるのではないか。その自己と作品のすり合わせ、類似点などの発見に及ぶであろう。それを底流に個性というものが演奏に宿る一助になると思うのだが。