私が学生時代のコンクールや入試の課題曲は、要するに、ふるいにかけるための選曲だったように思う。
全日本学生音楽コンクール、高校生の部の予選は平均律2巻の3番と24番、ショパンのエチュード作品10-4と作品25-9。
桐朋の入試は平均律2巻1番、ショパンのエチュード作品10-4、作品10-10、ベートーヴェンのソナタ18番全楽章が11月1日に発表され2月の試験までにまとめなければならなかった。今から思うと、若いから出来たと思う。言ってしまえば、体育会系の要素が強かったように思う。なんだが落とすためのコンクールや入試だったような気がする。とにかく難しい曲を弾かせて、実力を上げるという、考えようによっては安易で単純な発想で選曲されていた時代だったのかも知れない。当時の日本の現状がそんな感じだったのに対して、モーツァルテウムの入試は平均律が自由に1曲、古典のソナタから自由に1曲、エチュードから自由に1曲、ロマン派の作品から自由に1曲だった。ちなみに私が準備したのは、平均律2巻16番、ベートーヴェンのソナタ32番作品111、ラフマニノフのエチュード作品39-1、シューマンの幻想曲作品17だった。何となく、こちらの方が芸術性に赴きを置いていたような気がする。