昔昔のそのまた昔。学生時代、それはそれは優秀だった人が、今はその見る影も無いほど弾けなくなってしまっている現状をたくさん見る。技術だけでは無い。その音楽も魅力は失われ、何をしたいのかさえわからない。これは思うに技術が昔のままの、いわゆる古い弾き方のまま、自分を変えようとしなかった人に多く見受けられる。でも、多分それだけでは無い、過去に優秀だった自分にしがみついたままだったり、自分を変えようとする意志の強さがなかったり、さまざまな要因が原因で現在に至ったのかもしれない。60歳も近くなると、どう生きてきたかによって如実に差が出てきてしまうのが残念だけれども現実なのかも知れない。ふと、なんだか虚しい気持ちになってしまった。自分のことはさておき棚の上にあげて言ってしまっているが、自分の生徒にはそのようなことになって欲しく無いと願っている。やはり芸術の道は厳しく険しいということをしっかりと教えなければならないと思う。理想は歳を取れば取るほど、より冴えて深い音楽、歳をとらなければできない演奏をしてほしいと思う。