ある時にふと思うようになったこと。それは、ステージに於いての演奏が、なんだか練習の延長のような、まるでステージで練習の成果をそのまま聴かされているようなと述べたらわかっていただけるだろうか。そのような演奏で世界中溢れているような気がしてならない。如何にも、こんな練習してきまして、それをそのまま演奏してますというように感じさせてしまうことに、改めて演奏の難しさを思う。
それを感じさせない演奏ができるピアノ弾きはほんの僅かしかいないような気がする。私も以前はステージで演奏していたが、そのような演奏に大抵なってしまったような気がする。何か、本当にちょっとした何か、それはとても小さなコツがあるような気がする。でも、それがどんなに小さくても、演奏全体に与える影響はとても大きい。まるで巨大なピアニッシモの如くに。それは言わばマジックのようで、絶対にタネがあるに違いない。
そもそも、それを感じさせない演奏ができるピアノ弾きの練習そのものが違うのではないか?きちんと弾くための練習ではなくて、もっと感覚的なことの練習だったり、精神的だったりと。そういうことをテーマに演奏や練習というものを捉えてみるのは非常に興味深い。