それぞれの卓越したピアニストには独自の語り口があり、独自のテクニック、思想がありますね。人の真似もいいのですが、なぜなら、模倣から始まるとも言いますし、でも最終的には独自の言葉で語らなくてはいけない。これ、途方もない旅のようなものです。ピアニストのやるべきことの中心に存在しなくてはならないのかもしれません。やったつもりじゃダメです。本当にやらなければいけない。思っただけでとか魂を込めただけでは、何も変わらない。精神論だけでは到達できないことです。ピアニストたるものどうあるべきか?といつもいつも考えることはできるようでなかなかできない。登る山は高ければ高いほど。そして、その苦行を苦しいと思わずに楽しめるくらいでなくてはならない。それくらいの心の余裕がほしいですね。多分、イチローだって同じような境地で野球をやっていたと思いますね。なんか、生きてる!って全身の細胞が喜ぶようなことじゃないですか。それに、かっこいい生き方です。ピアニストの人生も満更でもないと思います。