いつの日から巷では「シンプル イズ ベスト」という言葉が定着しましたね。元はどこかの会社の宣伝文句だったのでしょうか?響きといいイメージといい世間に浸透したのは、それなりに何かもっともなこととして良いイメージがあるからなんでしょう。この言葉の通り生きるとなんかかっこいいと思ってしまいます。
現代人がもしシンプルを目指して、今流行の断捨離をどんどん進めて、何もかもスッキリさせてしまって本当にまるで南の海に浮かぶ無人島に住むような生活ができるんですかね?ちなみに私は生きられません。無理です。今更ね。
昔、オーストリアのザルツブルクに長らく住んでいましたが、あの時の生活は南の無人島とまではいきませんが、本当に何もない生活でした。私が貧乏で物を持っていないというより、田舎の観光地でしかなかったので本当に必要なものしか手に入らない街だったのです。買い物をするにしても選ぶ楽しみはなく、それ以外のものはない!という有様でした。まあ、人生の一時期、そんな生活を経験したのも良かったとは思いますよ。でも、長らくそんな環境にいて私は気がついたら発狂してしまいそうな状況に陥ったのです。確かに落ち着いて勉強に専念するには良い環境だったと思います。でも、いかんせん長過ぎましたね。シンプル過ぎて選択する自由や楽しみがない生活を想像してみてください!日本の首都圏で育った人間が、いつまでもそんな生活できると思いますか?あなたはできますか?
ですのでシンプルなことはいいという考えに私は経験上、私には絶対ムリです!今更そんな生活できない!と思います。やっぱり人間は何かを買ったり、選択や変化が必要です。基本に絶対あると私は思います。
ピアノにしても、毎日膨大な種類の作品があって、その中から選んで弾くのが楽しい。毎日毎日、何年も同じ曲だけ弾くなんてできませんよね?なんて思うのです。まあ、私がただ単に浮気性なのかもしれませんがね。でも広く深く音楽の世界は存在しているから魅力があるし、理解を深めるということを考えると、方法の一つとして例えば同じ曲でも色々な版の楽譜を比較検討した方がいいのです。一つしか楽譜を買わないなんて人もいますが、中にはベートーヴェンのソナタであっても弾く曲だけピースで買うという人もいますが、どうなんですかね?だから色々な物やことで溢れていて囲まれていた方が私は楽しいです。コーヒーや紅茶でも、その時の気分で香りや風味の違いを求める楽しみがあります。朝一番に飲む、その名の通りブレイクファーストという紅茶や夕方に飲む深煎りのコーヒーなんて最高ですよ。
大袈裟に言えば、基本的人権なんじゃないかと思っちゃったりしますね。
世の中、シンプルが美徳となっている風潮がありますが、どうなんですかね?
しつこいですが、私はムリです!