50歳あたりから、死ということが身近になってきて、気がついたら死のことを考えている自分に気づく時が多くなった。いずれ死ぬのだから、絶対に避けられないのだから、これはもう肯定的に受け入れるしかないとだんだん思うようになった。そして、いつも寝入るときに、このまま明日が来なくてもいいとさえ思うようになった。
そういう感覚に変化したからか、音楽の捉え方にも変化を感じる。何故か去って行く消え去る響きとか、音の無くなる瞬間とか、フレーズの終わりが気になるようになったり。短命な作曲家は多いし、短命であっても、何故かきちんと晩年を迎え、その境地で作られたであろう作品も多く見受けられる。その作曲家にとっても、多分、死というものが身近であったに違いない。そして思うのは、死というものを受け入れられ、タブー視しなくなって初めて、命とか生きることの意味合いがより明確になったような気がする。あとどれくらい生きるのかはわからないが、というより生かされるのかはわからないが、その生かされている使命を全うしなくてはならないのだと思う。役目から放免されるまで、まだまだもがかなくてはならないのだ。