アルゲリッチやホロヴィッツの弾いているのをよく観察してほしい。支えるべき所は支えているが、同時にそれ以外の部分は脱力して固めていない。それどころか、手を鍵盤に投げている。一般的な奏法は鍵盤に手がしがみついているが、それとは真逆。自由に投げて、つじつまを合わせている程度のコントロールの仕方だと思う。音は次から次へとやってくるわけで時間がないのだ。それを例えるならば、熱したフライパンの上で半熟のトロトロのオムレツを作る感覚に似ている。瞬間作業で塩コショウ少々程度のほんの少しだけのコントロールでつじつまを合わせ、決して音をミスしないようにしっかりと弾きに行っているのではないのだ。