ニコラーエワ先生から伺ったことなのだが、ロシアピアニズム の特徴の一つである、音が消えるまで聴くことが大切ということ。言い換えるならば音の離し方が大切であり、きちんと音が消えるまで聴かなければならない。そのためには、ゆっくり片手づつ弾いて聴く練習をしなければならない。それをするのとしないのでは、インテンポで弾いた時に明らかな違いが生じるのだ。一般に演奏を聴いていると、その練習をしていないので、音楽のスケールが小さくなってしまったり、場合によっては慌てて聴こえたり、響が混濁してしまったり、なんだか弾く意識ばかりが強すぎて、全体を俯瞰していない責任感のない演奏という印象を持ってしまう場合が多いように思う。結果としてレガートにもならないし、フレーズも本当の意味ではできていない。残念ながら日本人を含め、世界中の大半の演奏から感じることなのだ。