何事もこれはこういうことですという既成概念がある。それは決めつけてしまっていること。それ以外の角度から見ようともしないし、思いつきもしない。そういうことって人間多いと思う。
ピアノはこう弾くものです!と小さいころから教わり、何の疑いもなく育っている人たちは多いような気がする。私は言いたい。少しは疑ってみたら?自分の演奏に対しても。教えてくださっている先生のおっしゃることに対しても。要するに自分で考えるというか、自分で何かを感じているはずだし、それから目を背けてはいけないと思う。正しいとか間違いということではなく、自分の感覚にスポッとはまるかどうかだと思う。もし何かの違和感を感じたとしたらそれはあなたの演奏ではないし、あなた自身でもない。私だって、ロシアピアニズムの演奏だから何でもいいわけではない。むしろ、ピタっとはまる演奏はごくまれだ。なぜならその弾いている人は、わたしではないから。はまることのほうが少ないのは自然なことだと思う。人それぞれ世界観が違うしそれぞれに個性があるから。
最近、ふと宇宙を考える。宇宙の自然の法則のようなものがあるのではないかと思うようになった。多分、おそらく、自分にとって違和感を感じることや演奏は、もしかしたら宇宙の自然な法則から外れているからかもしれないと思う。おそらく、偉大な作曲家たちもそれぞれの宇宙があって、それが個性でもあり、宇宙的視野で物事を見つめていたに違いない。ベートーヴェンの後期のソナタの世界は宇宙の神秘とさえ思う。
というわけで、様々な角度から何事も見てみて、ピタっと来る感覚を探すこと。広大な宇宙とともに、あなたの中にも宇宙が存在し、あなたの心の宇宙の法則にしたがうことかもしれない。