ロシアピアニズムを追求してきて思うことの1つに、特にテクニックの観点においてそれまで常識だと思って弾いていた弾き方が、実は真逆だったと痛感することの連続だった。ちょうど天動説が地動説だったと人々が認識したように。常識って何?と根本から考えてしまうほど、ロシアピアニズムのテクニックは真逆だった。ところ変われば常識は非常識。非常識は常識なのである。そういうことを同じように経験している人は山ほどいると思う。ちなみに私の両足の親指はいつからか、巻き爪になってしまった。痛くて痛くて困ったものだと。一般的には巻き爪は、爪を短く切らないで長めに伸ばして矯正をして治すと言われている。それが常識なのだ。で、私も当初は皮膚科に通って、爪を矯正してもらっていたのだが、一向に良くならなかった。ふと思い立って、皮膚科ではない主治医にご相談したところ、先生曰く、「その方法では治らないよ」と言うと、巻き爪の端の部分をハサミで血が出ないぎりぎりのところまでバッサリ、いわゆる深爪?に切ってくださった。「この方法がいいんだよ!」と。毎月、通院してまめにハサミで深く切っていただいていた。おかげで足の肉に爪は食い込まないので楽な毎日を送ることができたのはもちろん、月日がたって、比較的軽いほうの左足の爪は巻き込まなくなったのだ。重いほうの右足はもう少しかな?といった具合だ。まさに驚きである!教訓。何事も逆転の発想が大切なのだとつくづく思う。巻き爪の話になってしまったが、ピアノも同じだということを言いたい。