35歳になったあたりだったあろうか。初めて腰痛になったのは。腰痛なんてものは中年以降のおじさんがなるものだと勝手に思っていたが、まさか自分が!と思ったのを憶えている。当時、劇団四季の友人に上手いカイロプラクティックの先生を知っているからと、表参道のスパイラルカフェで待ち合わせをし宮益坂を少し下ったあたりの小さな治療院に連れて行ってもらった。驚くことに、たったの1回の施術で治ってしまったのにはびっくりした。世の中には達人というものが本当に存在するのだと思ったものだ。がしかし、腰痛というものはどうやら1度なってしまうと癖になるようで、その後も宮益坂の先生にちょくちょく診てもらった。その後、宮益坂の先生だけではなく、色々なカイロプラクティックや整体を物色するようになった。考え方にもよるが、人の身体にはツボというものがあるという。真偽のほどはわからないが、ここではあると仮定しよう。で、実はピアノという楽器にも音の鳴る、1番その楽器が響くツボというものがあるということをいつからか知った。もちろん、多分、調律の具合によると推察するのだが、ツボのない楽器というものもまた存在する。そんな楽器はどう扱ってよいのか?頭を抱えてしまう。それはさておき、大半の楽器には音の鳴るツボがある。そういうことに気が付いていないなぁ~。ツボを捉えていないなぁ~と思う演奏は残念ながら多く、力任せに弾いてしまっているのはよくあることだ。大切なのは、鍵盤の浮力をよく感じ、確実に捉え、必要以上に弾いてしまってはツボにはまらず、音が歌わないのだ。ツボを捉えられてこそ、古くから知ってい友人のように、その楽器と心置きなく対話ができる。私の身体の悪い部分を捉えてくれる整体師のごとくに安心して自分自身をゆだねられるのだ。