何事もそうだが、自分がある域に達していないことに気が付かない、理解が足りないとか、まだ感じられないとか、まだ聞こえないとか、本質に迫っていないとか、経験が足りないとか、美味しくないとか、美しくないとか、要するに知らないのに、その対象を否定してしまうほど実は人間はおろかだと思う。
今日、ベートーヴェンの告別のソナタのレッスンをしていてふと思ったことだ。
この曲の魅力を私は最近まで感じることができなかったのだ。
昔から、他者がこの曲を弾いているのを聴くたびに、つまらない曲と烙印を押していた。でもそれが間違いでおろかだということに気が付いた。実はとんでもなく内容が深く、魅力にあふれた作品なのだ。もしかしたらベートーヴェンの作品の中でも傑作に入るのかもしれないのだ。
なんと浅はかだったのだろうと、人間は後になって気が付くことが多いものだ。
40年以上ピアノを弾いてきたが、今頃実感するとは、なんと藝術は奥が深いのだろうと再認識したしだい。
要するに謙虚じゃなかったんだと思う。自分こそは謙虚に生きていると思ってきたのだが、うぬぼれていたわけだと反省した。
すごく難しいけど、人として成長することは、自分の発言や行動や思考を省み、否定することは簡単だが、あえてそう感じてしまう心にブレーキをかけて冷静に捉えなければいけないと思う。
それが出来たら、思ってもみなかった世界を実感できるようになるのだろうなぁ。