ある時のディーナ・ヨッフェ先生の我が家に於けるマスタークラスの時のこと。
生徒の代わりに先生が弾いた。
その生徒は私の生徒の中でも優秀なほうで、それなりの響きがすでに出ていると思っていた。
がしかし、先生の響きと比較すると先生の紡ぎだす響きは生徒の10倍は音が伸びていたように思う。楽器が違うのかと思ったほど。
正直ショックだった。
音の伸びだけではない。
音の質がピンと張りつめているので非常に明確。
音の質が違うと出来上がる音楽まで大きく違ってきてしまう。
改めて音の発声の大切さを思い知った。
どんなに高尚な音楽を考えていたとしても、発声ができていなければ音楽にならないとさえ思った。
次元の違う世界。
本当に素晴らしい演奏家の作る音楽は音の発声ができていて、その音で音楽を作る。
その時はブラームスだったが、ピアノではなくオーケストラのように響いていた。
わたしはディーナ・ヨッフェ先生との出会いにあらためて感謝する。