今から私自身の学生時代を振り返ったときに思い出されること。
それはしっかりと弾くことだった。
しっかりと弾くことがプロとしての基本だと信じ込んでいた。
またそう教育されてしまった。
しっかりと弾く肉体的感覚と芯の太いしっかりとした音に手ごたえを感じながら弾いていた。
その後ロシアピアニズムと出会ってからも、ロシア人はしっかりと弾いているから素晴らしい響きが出るのだと誤解していた。
だから、よりしっかり弾かなくてはならないと思ってしまい、もっと頑張ってしまった。
ピアノという楽器を歌わせるコツとは真逆のことをしていたと思う。
言葉で説明するのは非常に困難だが、確かにしっかりと腕の重みが鍵盤に通じなければ音は歌わない。
でも、しっかり弾くのとは大きく違う。
しっかり弾いてしまうと肉体的精神的手ごたえは得られるが音は歌わない。
残念ながら、世界中を見渡してみると、そのようにピアノと格闘しているピアニストを多く見かける。
今だからわかったこと。
28年追い続けてきたからわかったこと。
本当のプロの音。
本当のプロの技術。
それらは私にとって大きな宝物である。
この感覚を多くの人々と分かち合いたいと思って日々生きている。