大野先生のもとでロシアピアニズムの勉強を初めて1年が経ちました。
細い指、細い腕、オクターヴがギリギリの小さな手、10歳で止まった小さな体。
ピアノを弾くには身体的なデメリットが大きく、私は常にそれに悩まされてきました。
大きな音が鳴らない。
大きな音で演奏しようとすると音が割れる。
それを回避するために綺麗だけれど響きの薄い音を出してしまう。
ピアノを弾くには不利な身体条件に加えて、強張りやすい関節で、準備運動のためにハノンやエチュードなどをさらうために毎日最低でも1時間ほど必要としていました。
テクニック的には、従来の奏法ではとっくに限界を迎えていましたし、テクニック面における成長はもう無理と言われてしまう年齢。
それでも私は諦めきれず、また「私が諦めたら私が教えている生徒たちは一体どうなるのか……」という想いで、必死に『何か』を探し求めた結果、ロシアピアニズムに出会うことができました。
出会ってからの1年間、本当に夢中になってやってきました。
夢中になれたのは他でもない、自分の出す音があまりに美しいからです。
自分自身が楽しむこと。
自分自身を楽しませること。
まるで幼い頃のように、ピアノの音を鳴らすということが楽しくて楽しくて仕方がないのです。
新しい色の絵の具、新しい筆を手に入れたような感じです。
初めて見る色。
そして、それらを混ぜてまた新たに生まれる色。
今まで紡ぎ出すことができなかった音が出せるようになると、今度は音楽が変わっていきます。
アレもコレも試したくなって、全く同じ演奏はできなくなりました。
弾くたびに違うのです。
「そうだ!これが音楽だった!」と、演奏することへの喜びが内側から溢れ出すようになりました。
これまで、本番には「練習した通り」に弾こうとしていました。
台本があって、その台本の台詞を何百回と練習して、練習した通りの台詞を一字一句間違えないよう気をつけながら言う。
それが本番での演奏でした。
さぞ、面白くない演奏をしていたことでしょう。
でも今は、演奏前に「今日はどんな演奏になるのかな?」と、自分で自分の演奏にワクワクするのです。
私は今、ピアノを演奏する喜びを本当に心の底から味わっています。

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