良く響く音になればなるほど、近くで聞いていて不思議な感覚になる。
不思議な感覚とは、まるで楽器から音が出ていないような錯覚を覚える。
要するに響いている響きの高さが違う。
良く響いている響きは、楽器の高さよりはるか高く天井近くの空中から聞こえてくるのだ。また上手い人ほど、声部によって響きの高さを変えることができ、同時に色々な高さで響かせることができるので、響きが混濁せず、すっきり聞こえ、非常に立体感が出る。
全ての響きは宙に浮いているかのごとくに広がり、楽器からではなく、もっと言ってしまえば、部屋のどこから聞こえてくるのかわからないような錯覚に陥る。
私の家のピアノで聞いていると、自分はさておき、ヨッフェ先生やモギレフスキー先生の出す音を聞いているといつも思う。