今日、あるレッスンで指導していて生徒ができたことがある。
曲はスカルラッティのソナタとラモーの小品。
その方法についてはあまりにも説明が難しいので、ここでは割愛するがピアノと言う楽器から出せる音、響きに1つのある意味での到達点を感じさせるタッチを教えた。
それは何か?
1つ1つの音にはその音の中で宇宙が存在し、必ず音の行方が存在しなくてはならない。
音が生まれ、グラデーションを帯びて、去っていく変化が生じなくてはならない。
言い換えるならば瞬時に鳴って消えていく音の中に、起承転結が存在しなくてはならない。
一瞬の1音の中に音色の変化が生じなくてはならない。
間違えないでほしい。ただの音の減衰では決してない。
これは非常に高度な領域のテクニックで、全世界を見渡してもこれを実践しているピアニストは数えるほどしかいないと感じる。
それが実現できた時にグレゴリー・ソコロフのような演奏になる。