私たちはピアノを習ってくる段階で、正確な技術を学ぶために、いわゆるスマートな演奏を要求され、それがプロとして正しい音楽であるという、いわば刷り込みをされて育つ。
果たして、本当にそうだろうか?
そもそも宇宙の法則にのっとれば、この世のすべてはいびつだと思う。1年365日あるが、うるう年というものもある。秒単位でも違う年がある。
人間の心の中も、非常に複雑でいびつなものだと思う。
確かに技術を学ぶ上で、いびつではない演奏ができることは大切だ。技術が足りなくていびつになってしまう演奏と、技術があってもいびつに弾いている演奏の違いは誰が聴いても判別できるだろう。
ヴィルサラーゼやアルゲリッチ、ホロヴィッツなどなど、皆いびつな演奏だと思う。
私が思う良い音というものも、よく聴いてみると、いびつでありスマートな響きではない。
人の歌う声も、弦楽器奏者の演奏もいびつだ。
ピアノもそうあるべきだと思う。
スマートな演奏や音は、私にしてみると、よそよそしさを感じて人間味がない。
芸術とは本来そう言うものだと思う。