バッハの作品においてもテンポ・ルバートは存在しなければならない。
でも、聴いている者にテンポ・ルバートをしていることがわかってしまってはならない。
このことはヴィルサラーゼ氏のインタビューで初めて知ったことだが、全く持って共感できるようになった。
テンポ・ルバートしているからイン・テンポで弾いているように感じるという摩訶不思議な現象が存在する。
逆に、テンポ・ルバートをしないでイン・テンポで作品が演奏されると、慌てて聴こえたり、間延びして聴こえるから面白い。
若い人には理解できないことかもしれないが、このことは非常に大切であり、絶妙な呼吸、タイミングが要求され非常に高度な領域であるが、いつかは獲得しなければならない、いわばトリックのようなこと。
一番のヒントとしては、自分の演奏を録音して聴いてみると感じられるようになるかもしれない。
音楽の持つ不思議な領域。何か宇宙に通ずる自然な現象のような気がする。