演奏家としては、本当は当たり前のことなのだが、意外に重要視していないと感じられる演奏が多く存在すると思う。
音にこだわること。
画家が作品を描くのに、絵の具の色にこだわるのが当然のように演奏もあるべきだと思う。
例えば同じ赤い色を描くのでも、いろいろな赤という色があり、どのような赤で描くかによってその印象は全く違ってくる。
音の響きにおいても同じことだと思う。
もちろん美しい音と呼ぶにふさわしい音は多種多様であり、大変個人的な領域のことであり、絶対的なものではないと思う。
世の中には色々な種類の美しい音、色々な種類の色がある。
私個人としては、下部雑音がしたり、散らばってしまっている音、割れている音、核のない音、空中に広がりのない音などが演奏の中に存在すると、違和感を感じるし、物足りなかったりもする。また、音色の変化がない演奏も退屈だ。
でも、巨匠と呼ばれている演奏家でも、多くの人の演奏に残念ながらそのような音が聴こえてくることや、音色の変化がない演奏が存在すると思う。
どんなに音楽が素晴らしくとも、そのような音で弾かれてしまうとがっかりしてしまう。
演奏家にとって、自分の声である音を磨くことを怠ってはならない。