フジコ・ヘミング氏の一番最初のドキュメンタリーを観た。
今でこそスターになった彼女だが、それ以前の彼女の姿を放映当時も観たが、改めて観て月日の経つのは早いと感じた。
先日も述べたが、彼女の演奏に対しては賛否両論ある。
確かにもっと上手に弾ける若いピアニストは幾らでもいる。
でも、フジコ・ヘミング氏のような味のある演奏をする人はそうはいないだろう。
「ぶっ壊れていたっていい!」
その言葉に心から賛同する私がいる。演奏の価値は完璧でなくてはいけないといつから決まったのだろう。完璧に演奏されていて、じつはつぎはぎだらけなCDのおかげかもしれない。
「機械じゃないんだから!」
まさにそう!
世の中、いわば正しい演奏をしないと評価されない。おもしろくなくても。
彼女の悲惨な過去があるから売れたと言う人はいるが、私はそれを差し引いて彼女のことを見ているつもりだ。
なんと興味深い人物だろう!
彼女は「ピアニスト」というより「芸術家」だと思う。
日本全国ピアニストになりたくて一生懸命ピアノを練習している子供や若者だらけだが、芸術家になってほしいし、そう願ってピアノと向き合ってほしい。