自分自身の演奏について深く考察することはしているつもりでなかなか難しいこと。どれだけ客観性を持つことができるかということ。そのためにレッスンがあり、他者の耳で確かめてもらう必要があると思う。
自分の持っているものは何で、持っていないものは何か。
私は大学生の時、スペインのコンクールでメダルをもらうことができたが、もらう前ももらってからも自分自身の演奏のレベルは何も変わらないと実感した。
アルゲリッチのレコードを聴くと、速いパッセージを木枯らしのように弾ききってしまう。それに比べて私の弾くパッセージはカタカタとなってしまう。アルゲリッチの表現には到底かなわないと思った。
メダルをもらえても、その価値の低さを思い知った。
自分はカタカタとしか弾けない。
テクニックの根本が違うのだと気が付いた。
そして後ろ髪をひかれつつ日本を旅立った。カタカタじゃない演奏がしたくて。
それが当時の私の自分の演奏を見つめて思ったことの1つだ。
今、幸運にもカタカタとはならないで弾けるようになった。
ピアノ人生とはその繰り返しのような気がする。
いつも自分自身を省みて、気が付いた欠点をまるで自分の姿を鏡にうつすようにしなければならない。