ある学生の演奏を聴いていて思うのは、「弾く」という感覚と「聴く」という感覚のはざまで苦労していることです。
私が生徒に対して、何かを示唆します。そうすると、「はい」と言ってすぐに弾き出すのです。
私が示唆したことは、言葉にするとほんの一言です。でもそこには、その一言を超えた深く広い意味合いがあるのです。
それをすべて瞬時に理解してもらおうなどとは思ってはいませんが、もう少し何を言われたのかを考えるとか、感じてほしいのです。
その様子もなく、すぐ弾き始める学生が少なからずいます。まあ、最も私自身の若いころを考えても、先生のおっしゃったことの数パーセントしかわからずに、弾き始めていたのでしょうが。
冒頭で申しあげましたが、いわゆる「聴く」という意識が希薄だからではないでしょうか。
若い時は、「弾く」意識が強く、とにかく弾きたくて仕方がないのでしょうね。
ロシアピアニズムの演奏では、まずは自分自身の音を「聴く」ことが重要であり、それなくしては、どんなに奏法を教えても限界に来てしまいます。
私は一部の生徒に口を酸っぱくして幾度も言っているのですが、これがなかなか浸透しませんね。困ったものです!(笑)
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