遠い昔、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽院の部屋で、タチアナ・ニコラーエワの1音を聴いた瞬間に言葉では言い表せないような、何かすべてをひっくり返されたような強い衝撃、強烈な感動をし、それがきっかけでロシアピアニズムに傾倒することとなりました。
なぜ感動したのか?それは、私のそれまでのピアノ人生において、ピアノという楽器から、永遠とも感じさせるほど伸びて行く響きをまじかで生で聴いた初めての体験だったからです。
人によって感動する物事は違うと思いますが、私の場合は彼女の響きだったのです。この感動するという事がとても大切なことだと思うのです。
人は、人生経験を積むことにより、未経験の物事が少なくなり、だんだん感動する機会は減ってしまう傾向にあります。
しかし、この感動するという事をやめてしまっては、そこでその人の成長は止まってしまうと思います。
新しい体験をし続けること、つまり感動し続けるためには、まずは物事を探求し続ける意欲が必要であり、大切なことです。言い換えれば、自分自身を変化させていくことでもあります。
このことは、刺激的でもありますが、しんどいことでもあると思います。
私のレッスンを何度か受けてみて、やめる生徒はたくさんいます。その多くは、自分を変えることのしんどさが伴うため、現状でいいとあきらめてしまうパターンです。
そのような人は、そこで自分自身を変えることをやめてしまうわけですから、成長がとまってしまうことになるわけで、大変残念なことだと思います。
私は、私のレッスンで、生徒が私の響きを聴いて、何かの刺激になればと少しでも私が弾くことを大切にしています。そう、私が私にとってニコラーエワの音を聴いたときの経験のような、私ごときの響きで大変おこがましいのですが、願わくば同じような刺激を受けてほしいと思っています。それがその人にとって、もしかしたら感動するきっかけになるかもしれないからです。
アインシュタインも「感動をやめた人は、生きていないのと同じだ。」と言っています。
感動し続ける心、意欲を持ち続けてほしいと思います。それが創造性につながるのです。
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