ステージで演奏するときに、奏者は1人です。しかし聴衆は大勢います。でも大勢の聴衆にとって、奏者は1人なのです。これが事実です。

 

演奏するときに、そのように考えて、聴取の方々1人1人の存在を意識することは大切なことのような気がします。

 

日本画家、東山魁夷は自身の絵の中に人物を書かない理由があったそうです。それは絵の作者と見ている人の間に何も存在してほしくなかったからだそうです。作品を通して東山魁夷とその作品の世界を見ている人との1対1の対話を希望していたそうです。

 

演奏の本質も、実は1対1の対話なのではないでしょうか?

 

その感覚をどこかに置き去りにしてしまいがちですが、聴取の皆さん一人一人の方と対話、コミュニケーションすることに本質があり、そこには愛情をもって接するべき感覚だと思います。これこそが藝術的行為であるともいえると思います。

 

個人的には、東山魁夷の作品を見ていると温かい愛情を感じることができますし、心が和むのです。

 

このことは、私自身、普段レッスンをするときにも同様であり、次から次へとこなせばよいという代物ではなく、1人の生徒のことを大切に考えるべきであり、私自身への戒めでもあります。

 

 

 

 

 












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