シューマン:ノヴェレッテン
(小節番号はヘンレ版に従う)
この作品のはフォルテだけではなく、ピアノもあり、優しいところもあり、叙情的なところもあります。今の演奏は書いてある以上にフォルテが多かったと思います。フォルテの弾きかたによっては、特にシューマンにおいて、音楽が死んでしまいます。感情的なところは、強く弾くとガラスが割れるように壊れやすいです。最初のところなどもそうです。
最初のフォルテも物理的な力を使うという意味ではなく、感情的な表現です。それでみんなには伝わりますし、物理的か感情的かという2つは全く違うものです。シューマンは不安定な性格でしたが物理的な力で表現するということは考えにくく、全般的にそういう考えを持って演奏して下さい。
最初のところはフォルテをもう少し小さく、半分(レベル10からレベル5)くらいにしたほうがよいでしょう。その音量で右手と左手のバランスを持ちましょう。今のは右手の強いフォルテモ、左手はそれよりさらに強いフォルテシモでした。最初強く始めてしまうと、頂点に向かうことも出来なくなってしまいます。右手のメロディラインはテヌートでビブラートで維持する形で。メゾピアノで弾いたくらいで、十分にフォルテを感じることが出来ます。何度も出てくるメロディの頂点にsfの文字がありますが、シューマンやブラームスの音楽において、この記号はアクセントではありません。これはビブラートという意味だと思って下さい。18小節目からはピアノです。でも、退屈ではなく動きを持って。練習するときには音量の違いというのを明確に感じて下さい。多分ピアニシモ、ピアノ、メゾピアノを同じ音量で弾いてしまいがちです。画家が「緑」を使うときに、いろんな種類を使うように、ピアノにおける音量も違いをはっきりさせましょう。29小節目からのところは会話を楽しむように。会話において両方がフォルテで話すことは機能しません。両声部がきちんとバランスをとってコミュニケーション出来るようにしましょう。注意深く弾きます。FisからCisにいくとき、上手な歌手でもこのCisはきっと高音だから大変で、ちょっと薄い(thin)かんじの音になると思います。難しいけれども、耳を使って、やるようにしましょう。6つの16分音符を丁寧に。ペダルを少なく、ゆっくり目で練習しましょう。
最初のトリオ。65小節目と69小節目、リテヌートは69小節目の1回だけです。65小節目はインテンポです。73小節目は3拍子ですので意識して。
2つめのトリオ。リズムは1拍目を意識をして(この音形はシューマンで重要)。こういうフレーズは実際に歌ったとほうがわかりやすいです。左手を弾きながら、右手でリズムをたたく練習も効果的です。182小節目はピアノがあります。198小節目は遠くから来るイメージなので、もちろんピアノになります。シューマンが思っている音は想像の中にあるようなかんじです。シューマンは繊細な人だったことを思い出して下さい。今の弾き方と別のイメージを持ったほうがよいでしょう。これまでの賑やかなところからプライベートになったイメージです。このノヴェレッテンはいろいろな性格を含んでいるので、それを変えて見せていく、ということを意識したほうがよいでしょう。このトリオの最後はピアニシモになり難しいので、左手がうまくコントロール出来るようにペダルを減らして練習しましょう。ここの音楽は苦しみ(suffering)の音楽です。シューマン自身がそういう気持ちを味わってきており、シューマンの音楽がここで見えるはずです。1つ1つの音で痛みを感じることで、聴衆にも伝わります。233小節目のA-Gは"Please help me"というイメージで。
FORTSETZUNGのところはモーツアルトの幻想曲(ニ短調)のように。
366小節目のところは、毎回少し速くなり、リテヌートはしないように。446小節目以降、テンポを維持して。ここが事実上この曲の終わりで、その後はコーダになります。
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