モスクワ音楽院にて先日お亡くなりになられた、ヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生に師事。プライベートでレフ・ナウモフ、ミハイル・プレトニョフに師事。
私の生徒、堀田英里香が彼の演奏を聴いて感想を綴りました。
セルゲイ・ババヤンの録音を聴いた。 ネイガウス、プレトニョフ、モギレフスキーなどのピアニストにも共通する、繊細なピアニシモを基本とした音楽の無限。 色彩豊か、表情豊かな響きで空間が満たされる。 彼等の響きは、言葉を超えたところにある。 音楽に限らず絵画も踊りも、言葉を超えた時点で「芸術」と呼ばれるのではないか。 言葉を超えて伝わってくるからこそ、音楽で表現する意味があり、それは時代や国境を越えていく。 言葉に出来ない感情は沢山ある。 日常では知っている言葉に置き換えて話しているけれど、人間の心の中はもっと複雑で、言葉に置き換えきれるものではない。 その感情も、響きでなら表現出来る。 誰にも語っていない心の隙間、言葉にした事の無い部分に、響きは入り込んでくる。 偉大な作曲家達はそのような作品を遺していて、優れたピアニスト達は言葉を超えた響きを紡ぎ出し、聴く人に作品のメッセージを届けている。 セルゲイ・ババヤンの響きは、まさに言葉を超えて伝わってくる。 同じ曲でも、今までに聴いていた他のピアニストの演奏は何だったのだろう…と思うほど、言葉を超えた説得力をもって心に届く。 その説得力は解釈を押しつけるものではなく、鋭い感性が作品から掬い取った真実であり、空間に描き出される浸透度の高い響きは、聴く人の心にまっすぐに届く。 どこまでも甘美でロマンティックな響き。 バラの香りのように芳しく、凛とした気品がある。 それは憧れのように遠く、もともと自分の中にあったかの様によく知っている、尊い響き。
にほんブログ村