このことは、全世界的に見て、なかなか認知されていないことだと思うのですが、倍音というものを演奏に求める耳で弾いている、聴いている人がいかに少ないかということです。

 

例えば、私の生徒たちの演奏聴いたピアノの専門家の多くは、その演奏に対して響いていないと言います。

 

これはその方のピアノの音を聴く耳が倍音ではなく基音を求めているからです。

 

ドイツ系のピアニズムにおいては基音をしっかりと鳴らすのが伝統であり、その系統の専門家の方からすると、致し方がないことだと思います。

 

このことは好みの問題と言えるかもしれませんが、もし生徒の方が倍音を求め、教師が基音を求めている場合、その師弟関係は、もはや崩壊していると言えるのかもしれません。

 

昨今、CDのみならず、YouTubeで簡単に色々なタイプの演奏家を聴くことが出来、ソ連が崩壊しロシアの倍音で弾くピアニストも多く来日していますから、基音で弾く教育で育っても、倍音で弾く演奏に惹かれる若者も増えてきており、基音の教育しかできない教師は、おちおちしていられない時代になってきているのかもしれません。

 

もっとも私からしてみますと、今に始まったことではなく、大学生の時にNHKホールの3階席で、ホロヴィッツの倍音の魔術に魅了されたのは遠い昔のことです。

 

おもしろいことに、オーディオ・マニアの方の方が、倍音を求める耳を持っているようです。例えば、このスピーカーの方が、倍音が良く聴こえる・・・などなど。

 

倍音を求める耳。

 

目に見えない響きだけに、なかなか難しいことだと思います。

 









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