世界中には、色々なピアノメーカーがありますが、スタインウェイだけが非常に特殊であるように個人的には感じております。
日本のメーカーも含めて、ヨーロッパの他のメーカーのピアノを弾いてみて思うのは、スタインウェイ以外の基本の設計において、どのメーカーも鍵盤を半分、約5ミリ弾いたところで音が鳴り出すような印象です。
ということは単純に考えて、それだけ指の運動量が多くなります。
スタインウェイを弾くと、2,3ミリ弾いただけで音が鳴り出しますので、逆からいえば7,8ミリも、多くの幅で色々なことが実現できますし、指の動きが少なくて済みます。
そこで1つ思うことなのですが、そもそもそのメーカーのピアノができるまでには、そのメーカーに携わるピアニストやピアノ教師の意見が多かれ少なかれ反映されているのですが、その意見の持ち主がどのようなピアニズムでピアノを扱っているかにより、ピアノの出来は違ってくると思うのです。
その点から考えますと、スタインウェイという楽器は特殊であり、100年以上前のアメリカ・ニューヨークにおいて、おそらくは、当時の亡命ロシア人ピアニストやピアノ教師の意見が反映され出来上がった設計ではないかと感じます。そこがヨーロッパや日本製の楽器と大きく違う点だと思います。
例えば、スタインウェイの鍵盤は真ん中から両端に向かって下がっているのですが、これはロシアピアニズムの基本である重力奏法をするのに、身体の動きの観点から適しているのです。ですから、わたくしごとではありますが、いつもスタインウェイばかり弾いておりますので、たまに違うメーカーのピアノの前に座ると、鍵盤の両端がせり上がって感じるほどなのです。
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