最近、ネイガウス流派の若手代表と申しても差し支えないダニール・トリフォノフが来日公演を行い、私の生徒たちもこぞって聴きに行きましたが、皆感動して良い刺激になったようです。
ロシアのピアニズムを思い浮かべたときに、皆さん、もしかすると力ずくでバリバリ弾くといった印象が強い方もおられると思います。下部雑音を伴った汚い音です。
これは、体格的なことからくるようにも思いますが、それよりも流派による違いは大きいように思います。
ロシアの大多数のピアニストがどちらかというと、下部雑音を伴った力ずくの音で表現するタイプが多い中、ネイガウス流派だけはロシアでも新興派と呼ばれていたようで、その表現は「音」という言葉がイメージする固体のように硬いものではなく、「響き」という柔らかい空気のようなイメージを私は持つことが出来ます。
大きく分けて4大流派と言われていますが、その実態はより細分化され、ただ単にその先生に師事していたから、なんとか流派と言えるほど単純ではなくなってきているのが実際のところではないでしょうか。
要するにネイガウスに習ったピアニストやピアノ教師全員が、ネイガウス流派と呼べるような演奏や指導をしているわけではないのです。
ネイガウス自身の古い録音を聴いていますと、甘味な柔らかいレガートで歌い上げていて、その音楽は深い洞察を根底に非常に即興的であり、詩的であるといえます。私自身のネイガウス流派に対しての主たる捉え方は、そこにあるのではないかと思っております。
昨今、日本人のピアニストやピアノ教師がモスクワで勉強し帰国するようになりましたが、先に挙げた事から、その演奏は人によりかなり大きく違います。
ロシアのピアニズムとひとくくりに考えてしまう、捉えてしまうことは、余りにも大ざっぱであり、どのような趣向、受けた教育によりその演奏は千差万別なのです。
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