ラフマニノフ ピアノソナタ第2番 第2、3楽章(改訂版)
楽譜はBoosey&Hawks社の版に従う。
2楽章について、今の演奏スタイルは、ラフマニノフスタイルというよりスク
リャービンスタイルでした。
1小節目の最初の和音は緊張感を持たせて、2小節目の最初の和音は柔らかく。
冒頭の音楽は即興的ではあるが、和音をあまり崩さず、縦の線(vertical
style)、拍を意識したほうがよいでしょう(崩しすぎるとスクリャービンらしく
聴こえてしまうが、冒頭はもっと、純真(innocent)でコンパク トにしたほうが
よい)。これは次の Lento からも同様で、アルペジオの記載が一部あるもの
の、全体的に崩しすぎずに拍を意識したほうがよいでしょう(ゆっくり弾くこと
自体は悪くないです)。
Lentoからの部分は、指揮者が細かく刻むように整っていたほうがよいでしょ
う。ここは整った形で、厳格に、理性的に、そしてちょっと宗教的 に、という
性格です。Lento2小節目の右手メロディーの音形(B⇒G, A⇒F#...)は重要で、ラ
フマニノフの典型的なフレーズです(1楽章の3ページ目にも同様なフレーズが
出てくる)。
Lentoから5小節目、5連符の後から、ナウモフ先生は、右手内声のメロディー
(B-C-D...)を強調する提案をしていました(この形は2 回目なので)。強制する
ことではないですが、この声部は興味深いし、知っておくことはヒントとしてよ
いでしょう。
4/4になってから、ここの2小節目は繰り返しなので、今度は左手の符点八分音
符(G⇒F#⇒E)を強調するとよいでしょう。
4/4からはボートにのっている気分で。ゆっくり弾く十六分音符は水を表現して
いるようです。4/4の1拍前からボートを押して、水に浮かべるイ メージです。
ここの直後の 12/8から速くならないようにしましょう(ここの前は十六分音符、
ここは3連符)。
12/8の4小節目の休符は、時間をとって呼吸します。12/8の5小節目から、右手
はピアニシモなので、トップノートのE-B-E以外は小さ く。12/8の9小節目か
ら、左手の内声(B-A-G-F# 最後は右手の親指に繋がる)を見せるとよいでしょう
(右手は同じようなことの繰り返しなので)。12/8の11小節目の10拍目からp
subitoにすることを提案します(この後のクレッシェンドを効果的にするため)。
13小節目は、その直前の音からペダルを使います。13小節最初の音 は、鐘の音
をイメージして。13-14小節目の右手の上昇は poco rubato で。ここは、スク
リャービン的に弾いてよいところです。12/8の15小節目、右手の6拍目の(BGB)の
和音は、G#でとる、という方法もあります(確 かホロヴィッツもそう取っていた
のではないか), 最後の符点は強調して。アッパショナータです。
Poco piu mosso の最初の小節、右手の最初の音(BやG)をもっと見せましょう。
その後の4/4の小節の右手は、スタッカートではなくテヌートを意識して。その
次の4/4 の小節冒頭のA-minorの和音はフォルテで(3小節後の冒頭の和音と強
弱のコントラストを出します)。
Tempo I の10小節前から左手は鐘の音を意識し続ける(ppで、柔らかいのだけど
鐘の音)。comodo(comfortable)なので速くなりすぎず。 Tempo I直前のカデン
ツァは、最後に響きをよくきかせてから、次へと入りましょう。
Tempo I からの部分、改訂版は短すぎる気がしています(ここは現実ではなく、
夢の中、というイメージなので)。なので、可能なら、オリジナル版から引用す
ることも 考えて下さい。5小節目直前からのフレーズは、ナウモフ先生曰く
「このソナタで最も美しい部分」。美しいソプラノで。小節最後のディミヌエン
ドを 確実に。Tempo I なので、冒頭のLentoを思い出して。10小節目は9小節目
のエコー。11小節目からペダルはハーフペダルを上手く使って弾きましょう
。
3楽章(Allegro molto)
3小節目から速くなりすぎないように。1小節目の最初の3つの音を(F-E-E♭)
をはっきり強く聴かせて下さい。12小節目の和音にC♭がある ことを忘れず。
22,23小節目はクレッシェンドを忘れずに。またここはスピードが速いため、左
手がクリアに聴こえないことがあるのではっきりク リアに弾いて下さい。
marcatoの四分音符は、右手B♭の和音ではなく、合間に入るE-E♭-D♭の和音のほう
を意識するとよいです。
a tempo poco meno mosso の8小節目の2拍目は柔らかく。a tempoから、左右
の親指で内声をはっきりと弾きます。20小節目の和音はナチュラルがあってもよ
いかもしれないです(左手のB♭EG♭のGに)。21 小節目はピアノから。右手のC-Aを
歯切れよく、はっきり、そして22小節目の最初の和音をフォルテで。28小節目か
ら右手はちょっと軽く。
Piu mossoから軽く。そして、5小節目はメフィストが大声で笑うようなイメー
ジで。
Tempo rubatoから速くなりすぎず、100人のハープ奏者が奏でるようにイメー
ジして。
最後のPrestoでは、右手でもっとクリアにクレッシェンドをかけましょう。速い
のだけれど、速さだけではなく。指使いも考えてみて下さい。 (トップノート
に4-5を使うのではなく、1-2/1-3などを使って、重みを出す)
最後から9小節前の1拍目左手B♭は、ナウモフ先生の解釈ではオクターブ下げて
もよいと言われています(コンクールではよくないだろうが、リサイ タルでは
やってよいだろう。作曲に詳しいナウモフ先生が言うのだし、ホロヴィッツなど
もやっています)。最後から7小節前の、1拍目⇒2拍目は、 鋭く弾きましょう。
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