私の留学時代の話を思い出しましたが、ある外国人の友人とニコラーエワ先生のCDの演奏について話をした時のことです。私はニコラーエワ先生の生の音、響きを知っていましたから、その音が柔らかい響きのヴェールに包まれた非常に暖かいものであることを知っていました。しかし、その友人はニコラーエワ先生の音は硬くて好きではないということを言っていました。
確かに、CDによっては非常にデッドな印象を受けます。このことは、今現在、このブログをお読みくださっている方も含めて、多くの日本人が同じような印象を持たれている方も多いのではないかと思います。
ロシア人の音=硬い音というイメージです。そのほかのピアニズムのピアニストの音の方が柔らかいという印象をお持ちの方も多いことでしょう。
音は目に見えませんから、非常に抽象的で感覚的なことですから、ある音を聴いた時に意見が分かれるのは仕方がないことです。
しかし、先日、寝室用に新しくイギリス製のオーディオとデンマーク製のスピーカーを購入したのですが、同じ録音でも非常に柔らかく聴こえ耳が疲れないほど、聴こえてくる世界は違いました。オーディオを少しだけでもご存じな方なら誰でも感じていることなのですが、日本製のオーディオはHi-Fiな方向を極め、1つ1つの音がくっきりはっきりと響くようにできているように感じます。いわゆるデジタルな音と言って良いのではないでしょうか。
それに対し、ヨーロッパ製のオーディオは、1音を際立たせるというより、全体の響きの調和を大切に考え、その方向性を目指して作られているように感じるのです。アナログな世界を残しつつも新しい技術を目指しているといった印象です。
さて、文頭に申しあげましたが、ロシアピアニズムのピアニストの音が硬く聴こえてしまうのは、もしかするとオーディオの環境が大きく関与しているのかもしれないということを申し上げたいと思います。
オーディオは上を見ればきりがないのですが、あるオーディオに詳しい方に相談したところ、クラシックピアノを主に聴くなら、それほど高価なものは不必要だそうです。お手ごろな価格のものでも大丈夫だそうで安心しました。
ですから、ヨーロッパ製のオーディオで、それほど高価なものでなくても構いませんので、是非、ご購入されることをお勧めします。そうでなくても、例えば、お気に入りのCDを持参して、電気店、オーディオ専門のお店で聴いてみてはいかがでしょうか?同じ録音でも全く違う世界が聴こえ、印象が大きく変わると思います。
ロシアピアニズムのピアニストの響きが非常に柔らかく、変幻自在に倍音の色がコロコロ変わって聴こえることでしょう。
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