ウラディーミル・クライネフ氏が亡くなり、You tubeにおいても、たくさんの貴重な動画が掲載されるようになり、
私といたしましては大変うれしい、喜ぶべきことです。
クライネフは、あのゲンリッヒ・ネイガウス、息子のスタニスラフ・ネイガウスに学びました。
ネイガウスに学んだからといっても、皆があのネイガウス親子の奏でる極上の美しい響きを継承しているとは思いません。
その演奏は様々です。自身の求める響き、音楽を追った結果がそうなるだけであり、その自由が許される教師であったからこそ、ゲンリッヒ・ネイガウスは偉大な教師といわれるのでしょう。
とはいえ、あの古いゲンリッヒの奏でる録音から、その響きは極上の美しさ、変幻自在で多彩な響きであり、
大変に特別なものであったと思います。古今東西、いろいろなピアノを奏するうえで美というものは存在します。
私はこのクライネフの演奏を聴くと、ゲンリッヒのピアニズムから多くの影響を受けており、それはゲンリッヒに非常に近い美意識であったと感じます。
「ネイガウス流派」とひとくくりでピアニストをまとめてしまうのは簡単ではありますが、私の感じる「ネイガウス流派」というのは、私個人の感覚では、実は非常に狭いものであると感じます。
このクライネフというピアニストは、まさに「ネイガウス流派」を継承する王道の演奏をするピアニストであると、個人的には思います。
私自身の求める響きというものは、時によりさまざまと変化してまいりましたが、このクライネフも私の思う理想を具現化した偉大なピアニストの1人です。
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