私のところにレッスンに通うようになってから、まだ日が浅い生徒のレッスンでのことです。



まず、背中で上半身を支えるのが、彼女にとって当たり前でしたから、それをおなかで支えるようにすることを体感として理解させるために靴を履いて弾かせたところ、ひざの位置が上に上がりますから、おなかのおへそのあたりで支えるという感覚が理解できたようです。



もちろん、それ以前に手や腕の使い方を変えさせたのですが、おなかで支えるようになった途端に、倍音が豊かに鳴り出し、いわゆる響きの層が出来上がりました。



ただ、それまでの彼女にとって、響きを生み出すことはせずに弾いてきたわけですから、当然、立ち上がりの音である基音を聴いて弾いてきたわけです。ここで問題になるのは耳の使い方も変えなくてはならないということなのですが、もともと倍音の少ない音で弾いている状態では、響きを聴きなさい!と言っても、その聴くべき響きがないわけですから、ないものを聴くことはできないわけです。



しかし、今回のレッスンによって、倍音の量が増し、響きが出てきたわけですから、その聴くべき響きが存在するのですが、彼女の耳は、その倍音を聴かずに、基音を聴いて弾いてしまうという事態が生じました。



とりあえず、倍音が豊かに鳴り響く演奏に変化したわけですから、今度は基音ではなく倍音を追う練習をしなければならない段階、次のステップに移行しなければなりません。倍音が豊かに鳴っているのに、基音を追って弾いていると、響きの移り変わりがうまくゆかず、混沌とした状態になってしまい、ただただ、ペダルの多い演奏という印象になってしまいます。



ですから、次のステップへ移行するためにも、倍音を聴き続けて弾いて行く、ゆっくりとした耳の練習が必要になるわけです。



それをすることによって響きが整理され、より表情豊かで繊細な演奏に変わることでしょう。


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